第2話:はじめまして、太陽君。

ドールはこの家の若いお兄さんに、めちゃ興味があった。

しかも自分の好きなタイプだったし・・・。


もうひとつの理由は、もしドールに明確な歳があったとしたら彼と同じ

くらいだと思ったからだ。

パチンコの玉くらいの大きさのドールは毎日この家の家族を観察した。


さて・・・ここで改めてこの家の家族を紹介しておきましょう。

この家の人たちの苗字は「日ノ本ひのもと」さんって言う。


お父さんの名前は「日ノ本 朝陽ひのもと あさひ」さん、サラリーマン。

お母さんの名前は「日ノ本 日向ひのもと ひなた」さん、 専業主婦。

それから、お兄さんの名前は「日ノ本 太陽ひのもと たいよう」君。

太陽君は現役の高校生・・・この物語の準主役でもある。


まあ、人間としては主役と言ってもいいかな。

だからまあ主役は太陽君とドールってことになるかな。


彼の年齢は17歳、身長170センチ。

ひとり息子、中肉中背、なかなかのイケメン。


甘やかされて育ったため多少わがまま、自分の思い通りにならないと

めちゃ機嫌が悪くなる。

天邪鬼、自己中、かなりひねくれている・・・って言うか誰にでもある

遅めの反抗期間真っ盛り。


どっぷりなオタクではないが、おオタクじゃないとも言い切れない。

ゲーム好き、アイドル「歌手・グラビア」、女優、モデル、コスプレーヤー好き

とにかく可愛い女の子にこの上なく目がない・・・充分オタクか。

で、お気に入りの自転車で毎日、高校に通学してる。


学校でも可愛い子にしか告らない。

告り方が、ど下手なもんだから女子から、ごめんなさいを言われる。

なのに懲りもせず、可愛い女子を発見すると何度でも声をかけるクセが

ついていて太陽君のライフワークのひとつになっていた。

まあ学習能力に欠けているって言えばそうなのかも。


イケメンなんだけど、そのあたりがね・・・。

相手が定まらないから、いつまで経っても彼女もできない。


あと、どうでもいいことだが「ヨコチ君」と言う仲のいい友達がひとりいる。

ヨコチもかなり、ひねくれた男だから、だから太陽君と気が合うのかもしれない。

ヨコチ・・・どこかで聞いたことある名前。


手塚治虫先生の漫画に出てくるロックやひげおやじ、たわしなどと

同じで脇役が別の漫画で活躍する・・・それと同じパターンだと思ってもらえば。


その太陽君だが学校から帰ると勉強もせず、アイドル育成シミュレーション

ゲームに夢中だった。


いつものようにゲームに夢中になっていると・・・誰かが部屋に入って

きたような気配がした。

なんだろうって部屋の中を見回して、ふと視線が止まった先に、

パチンコ玉くらいの光の玉は浮かんでいた。


「なんだこれ?」


すると、どこからともなく女の子のキャピーな声がした。


「はじめまして、太陽君」


「え?なに?、だれ?」

「ヤバい」・・・俺、マジでゲームのしすぎだかもな・・・幻聴だよ」


「そうじゃなくて・・・私はあなたの目の前の光の玉だよ」


「ゲゲッ・・・まじで、玉がしゃべってるってか?」

「まさかな・・・玉だぞ、玉・・・もしかしてこれってポルターガイスト?」

「それとも幻覚?・・・まぼろし?・・・蛍?・・・飛蚊症とか?」


「違うよ、余計なこと言わなくていいからね・・・バカに見えるから」

「集中して、太陽君・・・私だよ、ボケ」


つづく。

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