銀河の果てからこんにちは。

猫野 尻尾

第1話:有機生命体。

タイトルの「プレイフル」は「陽気な」「遊び心のある」何かを楽しみ

ながら行う様子や、冗談や遊び心を交えて行動する様子を表現する言葉

なんですって。

要するに天真爛漫、お転婆、ノ〜天気、天然、ドールはそんなキャラです。



ここは遠い銀河・・・の中心から愛を叫ぶ・・・・違〜う!!。

銀河の中心から、かなり地球に近いところって言いたかったんだ。


宇宙を漂う有機生命体の名前は「ドール」

彼女は物理的な存在としての実体を持たない有機体。

つまり人間のような肉体を持たず、魂のように浮遊している生命体。

魂を見たことないからな〜。


人の肉眼ではドールはパチンコの玉くらいの小さな光の玉にしか見えない。

ドールの能力は自分が見たものなら何にでも姿を変えられる

メタモルフォーゼと言う誠に便利な特技を持っていること。

だから、どんな環境でも生きていけるよう進化しているのだ。


人が頭の中で思い描いたものにも変身できるし考えたこと自体も分かる

能力を持っている。

だから、あまりエロいことを考えてるとすぐにドールにバレることに

なる。

僕「筆者」なんか絶対スケベ〜って引かれるだろうな。


あとドールは身近にある物質を一度分子分解、化学結合して違う物質に

変えると言う能力も持っている。

たとえば、雑誌をマグカップに変えたりと、そういうことだってできる

のだ。


思春期のドールは親と揉めて家出したあげく遠い故郷の星から宇宙へ

飛び出した。

ドールにとっては初めての広大な宇宙への旅立ちだった。

もう何年も宇宙を彷徨っていたから、いい加減どこかの星に落ち着きたかった。


そして、ようやくたどり着いたのが銀河の端っこにある太陽系だった。

太陽に向かってひとつひとつ星を訪ねたが生命体がいたのは青い星だけ

だった。

ドールはとりあえずその青い星に降りることにした。


緑も多いし、まあ空気はそれほど綺麗でもなかったけど生きていくには

充分だった。

しばらくは有機体のなまま浮遊しながらその星の生態や環境を観察した。


高層ビルに、めまぐるしい民衆の群れ・・・四六時中鳴ってる騒がしい音。

縦横に行き来する車や電車・・・朝が来て夜が来て、人々は毎日同じことを

繰り返していた。

ビルの大型モニターでは、どこかの国がミサイルを発射して排他的経済水域

に落ちたとかって報道していた。

この星は文明がそこそこ繁栄していて、さまざまな生物がいることを

彼女は知った。


その中でも二本足で歩く生物が、この星の支配者だと言うことも分かった。


とりあえず、ここで生きていくために同じ生物に変身しないと・・・

右も左も分からないドールは目的もなく住宅街を散策して回った。


すると一軒の家から、賑やかしい声が聞こえてきた。


「こら太陽・・・もうゲームばっかして、勉強はどうしたの?、ちゃんと

やってる?・・・お〜い聞いてるの?太陽」


「うっせえ・・・今時、真面目に勉強なんかやったってロクな人間にしか

ならねえんだよ・・・母ちゃんの若い時とは違うんだよ・・・バーカ」


ドールは、そのやりとりを聞いて面白そうって思った。

だから、しばらくその家と家族を観察してみることにした。

                                      その家は2階建てのなんの変哲もない注文住宅だった。

玄関を入ると、すぐ右手にワンルーム。

キッチンとリビングダイニングがひとつになっていた。

あとは洋室ひと部屋に和室がひと部屋・・・トイレにバス、あとは2階にふた部屋。


2階のひとつは、ゲームやりすぎの若いお兄さんの部屋。

もうひとつはお父さんと呼ばれる生命体とお母さんと呼ばれる生命体の部屋。

家族はその三人、三人で暮らすには充分だった。


パチンコ玉くらいの大きさのドールは家族に見つかることもなく

家中、観察して回った。


髪が長くて綺麗なお母さんはいつもだいたい台所にいて、ゲームばかりやってる

若いお兄さんにイライラして文句ばかり言っていた。

でも、若いお兄さんがいない時は上機嫌で鼻歌なんか歌っていた。


あと、ひとり、髪が短くて、お母さんより少しゴツゴツしてるのがお父さん。


日中はお母さんだけいて、あとの二人は朝でかかけて夕方どこからともなく

帰ってくる。

そういうパターンがほぼ毎日だった。

5日そういう日が続いて、土曜と日曜とかって2日間は、ふたりとも家にいて

ゴロゴロしていた。


ドールは自分と年齢が同じくらいの若いお兄さんに興味を持った。

妥当な線だ・・・お父さんのほうに興味を持ったら下手するとパパ活になり

かねないからね。


つづく。

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