第8話再会


「おいで、ユーフォニア」


 クェイルの上から兄のロビーが手招きした。


 ユーフォニアはふわりと浮かび上がり、重力を無視するかのように、兄のもとへ移動した。


「ほら、こいつも君をおまちかねだぞ」


 ロビーは腕に抱いていた猫をユーフォニアに渡した。


「シロエ!」


 ユーフォニアは顔を輝かせて両腕を差し出した。


 シロエはぴょんと彼女の腕の中におさまり、頭をぐりぐりとこすりつけてきた。


「シロエは王都の屋敷で攻撃を受けたあと、領地の屋敷の方に転移してきた。シロエは君の使い魔になっていたんだな」


「うふふ、シロエ、おりこうさんね」


 逃げ延びた愛猫を褒めたたえ、その体をやさしくなでると、シロエはゴロゴロと喉を鳴らした。


「君のことだから心配はしていないと思うが、王子の命令で領地に侵入したゴロツキ共は全て処分した。父上、母上、サンドラ共に健在だ」


「はい、唯一の心配事がこの子でした」


「だと思ったよ」


 全長3000メートル以上あるクェイルの巨体の上から、兄と妹は王都を見下ろした。

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