第4話記憶のかけら
地下牢の中で、ユーフォニアは静かにたたずんでいた。
ファキネッティ家は代々魔力量が豊富な家系で、兄も妹もその例にもれることはなかった。
「君は自分の持つ力の大きさを理解しなければいけない。国を救うこと、あるいは滅ぼすこと、もしかしたら、惑星の自転に影響を及ぼすことさえ可能かもしれない、それほどの力を君は有しているんだ」
兄のロビーはいつもそう言って、ユーフォニアに魔力制御の重要性を説いていた。
「まあお兄様ったら、大袈裟ですこと。わたくしはせいぜい陽だまりの中でそよ風にゆれる名もなき小さな花のような存在でしてよ」
「ははは、冗談はほどほどにな」
「お兄様こそ、うふふ」
勤勉で努力家の兄と違って、ユーフォニアはお昼寝を好み、のんびり過ごすことを好んだ。
陽だまりの中でシロエといっしょに丸くなって眠っているユーフォニアを発見した兄は「君は猫か」とあきれていた。
妹のアレキサンドラはあまえんぼうで、幼い頃は本を持ってきてはユーフォニアの膝にのって読んでとせがんだ。
ユーフォニアの膝の上にはいつも妹かシロエのどちらかに占領されていた。
生き生きとした兄や妹の姿。そしてシロエ。
ユーフォニア中に流れていく記憶のかけらたち。
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