第1章 天ヶ瀬月夜の新生活
第7話 私、凄いみたいです
草原のど真ん中にある城壁に囲まれた
月夜とシアルツァの二人は街の中心街をゆっくりと歩く。会話をしているが、まだ状況整理の真っ最中だ。
「とりあえず、
まず「
「うん……多分。天ヶ瀬さんは他の世界の住人だけど、これからの生活のためにもギルドには絶対行かなきゃ」
「これから?」
「そう。この世界の住人はみんな、「
シアルツァは得意げに人差し指を立てて、話し出す。
「依頼には『
「……ふむ」
月夜は口元に手をそえて、少し考えこんだ。
「もしかしてギルドで
「そう! いやぁー、頭も良いんだね。天ヶ瀬さん」
「ありがとうございます」
歩きながら一礼した、月夜。
「へへ。あ! 見えて来たよ!」
シアルツァが声を上げながら指さした先は、街の中央広場。そこには巨大なドーム状の建築物が建てられている。さらに人がこれでもかというほどに溢れかえっているではないか。
「あれが、冒険者ギルド」
月夜は、異世界の大きな特徴の一つであろうその建物を見上げながら。少し、高揚していた。
◇◇◇
冒険者ギルドの中は石造りを
月夜とシアルツァは比較的空いている新米冒険者専用の列に並んでいた。
「あと少しですね」
「なんか俺、ドキドキしてきちゃったよ」
シアルツァはさっきからソワソワしていた。紅竜を一撃で仕留める能力値――。それを今から確かめるというのだから、少年の心は当然に熱を帯びるというものだ。
そして月夜たちの順番が回ってきた。
「あら、可愛らしい見た目のお客様ですね。いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件でしょうか」
刺激的な格好に
目のやり場に困ったシアルツァは、少しもじもじしながら用件を話した。
「あ、あの。俺の隣にいる方の
「……」
受付嬢はその顔に
「……うう。意地悪しないでください」
その反応を見て、いたずらっぽく
「分かったわ、坊や。さ、手を出してみてカワイ子ちゃん」
「はい」
左手をさしだした月夜。そこに受付嬢がスタンプのような何かを
「あ、すぐに消えるやつだから安心してちょうだいね」
受付嬢は軽く
月夜の左手から、空中に誰かが字を書いているかのようにして、
「……」
それを見た月夜は心の中で「文明、ですね」と
「どれどれ、どんな感じかしら……って、あら?」
「ええっ!?」
シアルツァ、受付嬢の双方が身体が跳ねて驚いた。
この世界で、誰も見たことがないような数値がそこには示されていたからだ――。
力「限界値」 知力「6480」 敏捷性「限界値」 防御力「限界値」 魔法防御力「限界値」 運「603」
「ほ、ほとんど
シアルツァの
「おいおい嬢ちゃん、マジかよ!?」
「すげぇな! これなら
――ウォォォォォ!!!
「はて」
万能少女、メイドの月夜さん 楪 紬木 @YZRH9
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