第8話 後輩ちゃんの大好きなせんぱい
(早朝の街中。通勤・通学の人々の喧騒)
(並んで歩く二人)
「いやぁ、びっくりしちゃいました!」
「さぁ、学校行くぞってお家を出たら、せんぱいが待ってたんですから」
「そういうことなら、事前に言っておいてくださいよぉ」
「……んーまあ、そうですねぇ。確かに、玄関を出るまで何回もやだなーって気分になりましたけど」
「せんぱいの言う通り、待ってるって初めから言ってくれてたら、やだなーって気分は消えちゃってましたけど、でも、一人で頑張ってお外に出た莉々菜はいなかったかもしれませんね」
「まさかそこまで莉々菜のことを考えていてくれたなんて。さすがせんぱい」
「え? どうしたんです? じろじろ見て」
「あっ、パーカーですね。大丈夫ですよ。うちの学校、校則はゆるいので。制服はちゃんと着てるから大丈夫です」
「これは莉々菜のトレードマークですし……せんぱいにねだって買ってもらったものですから。お外に出る時も着ていたいんです」
「せんぱいが守ってくれている気がするんですよね」
「……そういうわけで、まだまだせんぱいナシで自立してるわけじゃないのがバレてしまいましたが。あはは」
「せんぱいは心配性ですね」
「……ちょっとずつですけど、莉々菜も前に進めてますから、そこは心配しないでください」
「にゅふ、なにせ、勉強は莉々菜の方がずーっと出来ちゃいますから!」
「困ったことがあったら、いつでも莉々菜に教わりにきちゃっていいんですよ?」
「一学年上の内容でも、莉々菜にかかれば簡単に解けちゃいますし?」
「わ。頭くしゃくしゃしないでくださいよ~」
「も~。せんぱいってちょっと生意気だと思ったらすぐそれなんですから」
「あ、駅。見えてきちゃいましたね」
「乗る路線は同じでも、せんぱいとは逆方向ですもんね。ホームの左と右で離れ離れです」
(駅構内のアナウンス音的なものが鳴る)
「改札抜ける時ってちょっとドキドキしませんか?」
「莉々菜はスマホにアプリ入れてるんですけど、反応しなくて改札の扉がバタン! ってなって、後ろにいる人の邪魔になったらどうしようってよく不安になります」
「あれあれ、せんぱい、どうして莉々菜の後ろに移動を?」
「あ、ありがとうございます。うふふ、気遣いが嬉しいです」
(エスカレーターに乗る二人。広告を発見する)
「わ。せんぱい、この前言ってたソシャゲ。事前登録受付開始ですって」
「また頼みますね? せんぱいはゲームは下手ですけど、ガチャの引きの良さは最強ですから!」
「うふふ、楽しみが一つ増えちゃいました」
(駅のホームのアナウンス音)
「あー、莉々菜が乗る電車の方が先に来ちゃいますね……」
「え? ああ、はい、そうですよ。16時までです。うちの学校、指定された登校日は少ないんですけど、その分授業時間が長いんですよね……」
「迎えに来てくれるんですか? で、でもせんぱいの学校からは離れてますし……」
「……確かに、電車で結構掛かっちゃう場所に校舎はありますが」
「そんなに心配なんですか?」
「一緒に帰りたいだけ? ふむ。にゅふふ……」
「じゃあ、寂しがりなせんぱいに免じて一緒に帰ってあげます」
(電車がホームに到着する音)
「あ、そんなことを言ってる間に電車が」
「せんぱいも、遅刻しないでくださいよ」
「じゃあ、待ってますから~」
「ん? なんですか? 莉々菜のお耳に用事でも?」
(好きと言われる莉々菜)
「あ……」※不意打ちに照れる感じで
「莉々菜も、せんぱいのことが大好きですよ?」※嬉しそうに弾む感じで
「ふふふ」
「せんぱい、行ってきますね!」
「浮気したら、ダメですよ?」
猫耳フードで生脚出してるダウナー系オタク後輩女子と昼下がりの部屋でダラダラおうちデートする関係になったら 佐波彗 @sanamisui
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