第40話
一般冒険者代表のジェイドです!
人生ってのはフレッシュに楽しみたいですよね。
そうするにはどうすべきか? それはやっぱりお出かけでしょう。豊かな森や静かな湖畔などなど、新しく見る景色は脳に新鮮な刺激を与えてくれること請け合いです。
というわけで相棒のヒヨコくんを連れて、
「はいやってきましたよくわからん火山の火口。めっちゃマグマ煮立ってますね」
『ピギャー!?』
「こらこら暴れるな。俺の魔力保護が切れたら焼き鳥になるぞ?」
『ピギャギャ~~~!?』
はい。ぶっちゃけ自然とか見てもクソつまらないんで、クッソ危険地帯に来ています。
この世界は、中世初期に『魔物』が現れたというハードモードなIF地球。
ゆえにまだまだ人類が手つかずのヤバい地は多く、てか火山の火口なんて今後一生手つかずでしょうけど、まぁ俺は平気だからのこのこ遊びに来れるわけですわ。
「スキル≪
『ピギャァッ! ピギャギャァ!?』
〝こんなところで食えるか! 自分が揚げヒヨコになるよ!?〟的なことをたぶん訴えているヒヨコくん。
はっはっは若いなキミィ(※実際生後二か月)。俺から離れなきゃ大丈夫だっつの。
「じゃ、俺だけマグマ見ながらシューマイぱくぱく……」
とその時だった。
『――グォオオオオオオオオーーーーーーーッ!』
「あん?」
突如として響く咆哮。
それと同時に溶岩の湖面が爆発し、中央より翼の生えた山羊頭の人型生命が現れたのだ。
なんだこいつぅ~?
「スキル発動≪
唱えると、目の前に光のウィンドウが出現した。
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対象名:『灼熱業魔ウゴバク』
種族能力:【悪魔睥睨】(悪魔族共通能力。邪性上位生命として、その眼光はホモサピエンスに対しショック死レベルのプレッシャーを与える)
個体能力:【大灼炎】(全攻撃に極大灼熱属性+自身に極大炎耐性付与)
ホモサピエンスを優先して害する魔物の一種。その上位存在。
半地縛霊体ゆえ発生した土地から離れられないものの、その膂力・魔力は凡百の魔物を遥かに凌ぐ。
過去、国土内に発生した悪魔によって人類が壊滅的打撃を受けた事例を以って、『冒険者ギルド』は悪魔である時点で危険度判定S+と判断。
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「ほーん、こんなところで悪魔と会うかぁ」
魔物の中でも最上位クラスとされる連中だ。
「いやお前もう少しいい場所住めよ。ここ火山だぞ? 環境最悪だし周囲に話し相手もいないだろ。お前上位存在とか呼ばれてるくせに三級冒険者の俺よりカス環境に住んでるとか」
『ガァアアアアアアーーーーーーーッ!』
と諭してる最中になんか襲ってきた。
「いや聞けよ」
超高速で接近する悪魔。灼熱に燃える拳を振り上げる。相棒のヒヨコが『ビギャーッ!?』と泣きながら気絶する。
果たして刹那の一瞬ののち、悪魔が俺をブン殴ってきたところで、
「三級冒険者パンチ」
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーッッッ!?!?!?!?!?』
悪魔は爆発して死んだ。
俺が返しに拳を叩きつけたからだ。VS悪魔戦、完。
「悪いな、灼熱業魔ウコ……なんとかくん」
名前は知らんが、まぁ恨むなら自分の運の悪さを恨んでくれ。
「俺、お前より最上位の『邪龍種』なんだわ」
人間としての名はジェイド。
だが正式名は、『 暗 黒 破 壊 龍 ジ ェ ノ サ イ ド ド ラ ゴ ン 』とかいうクッッソ恥ずかしい名前なんだわ……!
なんか魔物の創造主が付けてるみたいだが、マジでぶっ殺すぞこのこのこの……!
「はぁ、ともかくピクニックはお開きだな。じゃー帰るぞヒヨコくーん?」
『ピヒェェェ~……!』
「あーあ、完全に伸びてらぁ」
さて、休み時間は終わり終わりっと。
また午後からは三級冒険者として、コツコツ地道に働かないとな~と。
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