第26話
頻発している魔物の大量発生現象。
例のアレが、隣領『開拓都市アグラベイン』の周囲でも起きているらしい。
「一体どうなってんだか」
馬車に揺られて街に向かう。
この馬車は現在パニック中の隣領のギルドが出してくれたものだ。
要は助っ人便だな。
向こうの領主は自前の戦力でどうにかしようと思ってたらしいが、『冒険者ギルド・アグラベイン支部』のマスターはもうアカンと判断。
で、こちら『開拓都市トリステイン』のギルドに救援を求めたとの噂だ。
「なんかお尻いてえなー」
「『アグラベイン領』に入ったあたりからだよな」
「こりゃ街道舗装あんましてないな」
ブーブーと不満を吐く同乗者たち。
俺と同じく助っ人に向かっているトリステインの冒険者仲間たちだ。
「向こうの街、上下水道の完備がまだって話らしいぞ?」
「万が一の医療環境は整ってるのか? 『
「双子は不吉って迷信がまだあるとか……」
どいつもすっかり現代っ子である。
俺が領主イスカルのケツ蹴って、爆速で最新環境にした街で育ったおかげだな。
「お前ら、あんまグチグチ言うのはやめてやれ。隣領の馬車の御者さん、すごい心苦しそうな顔になってるから」
『へーい』
御者さん追い詰めてもしゃーない。
土地の文化レベルが
「……イスカル卿も言ってたなぁ。特に貴族は、自分の信じていた文化を変えたがらないって」
さて。
隣領には昔行ったきりだが、どうなっているだろうか?
「昔は酷いありさまだったが、隣のトリステインが発展しまくってんだ。それなりに影響受けてるはずだろ」
ガタガタする道にちょっと不安を覚えつつ、俺は『開拓都市アグラベイン』に向かっていった。
◆ ◇ ◆
「って――なんも成長しとらんやんけええええーーーーーッッッ!!!」
街に着いた瞬間、俺は叫んだ!
「ウンコとか脇道に捨てられてるやんけッ!? 野良犬とかネズミとか害虫がそこら走ってるやんけッ!? 路地裏には浮浪者とか寝てるやんけッ!? クソクソクソクソがあああああああああああッ!!!!!!!」
はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああホンマクソもうやってられませんわああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーホンギャアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアホ氏ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(クソデカ溜め息)(お嬢様化現象)(コーナーで差をつけろ)(朝青龍)
期待した俺が馬鹿だったよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ハイッ、もう終わり!!!!!!!!!!
解散解散!!!!!!!!!!!!!!!
「ううぅぅぅぅぅぅぅ……なんだかジェイドくんは涙が出てきたよ……!」
「ジェ、ジェイドが壊れた」
「うわマジで泣いてるよ、お前の情緒どうなってんだ……?」
「てか御者さん気遣って悪口止めたお前が、ここで一番ヘイトスピーチかますのかよ……!」
うるせーうるせー!
「俺は今いつまでも成長しない人間の愚かさに絶望してるところなんだよ。ハッ、そうか、魔物を生み出した上位存在はきっとそれゆえに人類を滅ぼそうと!? つまり魔物とは世界を浄化するための『白血球』で!」
「「「なんか悟り始めたよコイツ」」」
いやマジでこの理論で合ってるって
「……だから人類の歴史が酸鼻を極めていく十世紀ごろに、魔物はこの世に出現したのか……?」
どうしよう。
街から漂うウンコの匂いで、世界の謎にちょっと気付いちゃったよ。
「はぁ……とにかく決めたわ。速攻で大量発生した魔物ども狩り尽くすぞ」
この街は最悪だが、住んでる人たちに罪はないからな。
そんで速攻で帰るぞ!!!
「さぁお前ら、そうと決めたらギルドに行くぞ。『万年三級ソロ冒険者ジェイド』についてこい」
「「「三級のくせに仕切るなよ……!」」」
うるせえ、行こう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(※外は臭いから)
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