第25話

 たくさん弓矢を作ったが、試射をするときに問題が発生した。ゴーレムが弓矢を扱えないのだ。扱えないというと語弊が出るかもしれないため詳しく述べると、ゴーレムのパワーに弓の方が耐えられなかった。

 もちろんパワーを弱めれば引けるが、それでは弓矢の攻撃が弱くなる。そうなると近接で殴る方が手っ取り早いし、壊れやすい矢を使う必要もない。

 それとゴーレムにパワーを弱めて試射してもらったが、的に当たらないという問題もある。まあ弓は難しいからな。しばらくはゴーレムに使い方を学習させる時間も必要だ。そんなわけで一先ずお蔵入りになった。


「しばらくはどうにかできないか考えるか」


 そうして数日が経過したが、特段良い案が思いつかなかった。結局もっと丈夫な素材を見つけないといけない。一応魔石を取り付けることで、硬質化のスキルを付与できる。これなら弓が耐えられるようになるが、そっちに魔石を使うほど余裕があるわけではない。


「まだまだゴーレムを揃えないといけないし、施設にも魔石を使うからな」


 そしてコモンドックダンジョンの四階層を見つけることができた。もしかしたら二階層と同じように何かしらが強化されているかもしれない。パワーかスピードか、もしかしたら防御力かもしれないな。そんなことを思いつつ、ツヴァイたちを四階層に進める。


「この階層はどうかな?」


 見た目はこれまでと同じように草原で、特に変わったところは見受けられない。そうして進ませると、早速二体のコモンジャイアントドックが駆けよってくる。しかしそのスピードは今までの比じゃないほど速かった。

 まずいつも通りツヴァイともう一体のゴーレムが相手をしようと前に出るが、素早いヒットアンドウェイに翻弄されている。ゴーレムの全速力と同等のスピードで動き回るせいで、なかなか捉えきれないようだ。

 それでも傷を負わないように盾で防ぐことはできている。しかしその後に攻撃に移ろうとすると、すぐさま跳び引かれてしまう。これじゃあ攻撃できないな。


「数の利を生かせば倒せるだろうけど、できれば一対一で倒したいな」


 その後もしばらくはコモンジャイアントドックの攻撃を盾で防いでは取り逃がす、という時間が過ぎ去った。だがしばらくするとゴーレムがコモンジャイアントドックのスピードに慣れてきたのか、盾で防ぐだけでなく反らしたりぶつけたりし始めた。そのおかげでコモンジャイアントドックの姿勢が崩れ始めて、攻撃が掠るようになってきた。

 そうしてついにツヴァイが姿勢の崩れたコモンジャイアントドックに剣を叩きつけた! そこからは一方的で逃がさないように攻撃を加え続けて、すぐに倒れた。そこからもう一体のゴーレムも時間をおかずに倒すことができた。


「ふう。スピードは脅威だったけど、それ以外はほとんど変わらないな」


 息を吐いて、リラックスをする。思ったよりも緊張していたようだ。それにしても四階層はスピード強化で決まりかな。あの戦闘を見れば確かにスピードは厄介だろうけど、しっかり防げたし問題はないかな。


「まあでもしばらくは慣れるために、まだまだ時間はかかるだろうけど」


 あのスピードにほあkのゴーレムが慣れるのは時間がかかるだろう。だがゴーレム学習装置があるから今までよりも格段に他のゴーレムも慣れるのは速いはずだ。

 それと回収した素材を鑑定したが、三階層と同じコモンジャイアントドックの素材だった。何かしら強化を受けてるのだから、変化が合ってもいいのに。そう思ってしまう。


「それじゃあ四階層から次の階層への入り口を探しつつ、戦闘を頑張ってもらうか」

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世界浸食のダンジョンブレイク ~ゴーレム使いが行く崩壊生活~ 天星 水星 @suiren012

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