第21話
少しして三台目の魔力生産施設を稼働させたときのこと、それは突然やってきた。ブーッ!ブーッ!ブーッ!と警報がなったのだ。
「もしかしてついに来たか!?」
その警報を聞いて急いで視界共有を防壁に使う。そこには三十匹近くのコモンドックが防壁目がけて突進してきていた。あの時ダンジョンから出てきていたコモンドックだろう。いつかは襲い掛かってくると思ったが、急に来たな。
「とりあえずゴーレムを出して防衛に当たらせないと」
アイテムボックスから鉄製のゴーレムを五十体出して、防壁に向かわせる。もちろん武器を忘れないで持たせる。今回のことを見越して、防衛用に作った長槍だ。普通の人間には扱えない長さになったが、ゴーレムなら扱うことができる。これなら防壁の上から刺すことができる。
防壁の様子を見るが、少し魔力が削られた程度で傷一つない。このぐらいの消費量なら丸一日もつだろう。そう理解すると少し肩の力が抜けた。知らず知らずのうちに力が入っていたようだ。
「大丈夫だ。所詮コモンドック、何百と倒してきた相手だ」
そう呟いて精神を安定させる。そうこうしてるとゴーレムたちが防壁に着いた。とりあえず順次、槍を突き刺していく。一撃では倒れないがそこはすぐに二発三発と突き刺していく。
そうするとすぐにコモンドックは倒れて素材になった。もしかして五十体もゴーレムを出す必要はなかったか?
「いや、念のために出しておくのは悪くないよな」
それよりもまずは防衛を成功したのを喜ぼう、うん。いつかはコモンドックの群れに襲われると思っていたが、意外と遅かったな。てっきり人間を狙って襲ってると思ったが、ダンジョンから出てきた日からしばらく経っているのに、一番近いと思われる俺がなかなか襲われなかったんだよな。
「匂いとかで見つけてると思ったが違うのか?」
よくわからないが一先ずコモンドックの素材を回収を始めた。少し汚れているが、どうせ魔石生産施設にぶち込むから関係ないな。
回収していると、空にたくさんの黒い点が見える。もしかして鳥か? それにしてはたくさん集まってるな。
「……鳥? いや待てよ、確か普通の動物類はいなくなったんじゃなかったか? それじゃあもしかしてあれ全部魔物か!?」
そう気づいた時にはだいぶ近くまで来ていた。それでもなんとか撤収できたが、いくらか素材は回収できなかった。まず引きこもって様子を見ようとするが、鳥の魔物は構わず施設に突っ込んできた。
ガンガンガンッと続々と突き刺さっていく。そして突き刺さった衝撃で崩れ落ちていった。
「……もしかして馬鹿なのか?」
その後も様子を見るが続々と突き刺さっては落ちていく。とりあえずゴーレムを外に出して様子を見るが、ものの見事に気絶している。
「長槍は邪魔だから、剣に持ち替えるか」
そうして落ちてきた鳥の魔物を順次倒していく。そうして素材を回収していくが、得られたのは羽、肉、嘴、鉤爪、魔石が手に入った。
「羽は矢の材料にしたいからアイテムボックスに入れて置くか。嘴は槍にしてみて使えるか確認。鉤爪はいらないから魔石生産施設行き。肉は食べる」
一先ずそうやって分ける。鑑定の結果コモンラッシュバードという名前だった。ラッシュ、突進か。そうして襲い掛かってきたコモンラッシュバードは途中まで数えた結果五百体以上にもなった。
「まだまだ襲われてるけど、これいつまで続くんだ?」
アインとツヴァイたちも帰還させている。もしまだまだ続くようなら俺の代わりに倒してもらわないといけない。流石に寝ずにぶっ続けの作業はきつい。
途中で魔力生産施設に素材を入れて魔力を補充したりしながら、コモンラッシュバードを倒し続けた。結局丸一日経つことでようやく終わった。
途中で途切れ途切れになりながらも襲ってきた。もしかしたらだいぶ遠くからも来てるのかもしれない。もしくは感知範囲にここが入ったか。
「それにしてもゴーレムに見向きもしなかった」
もしかしてこの施設が原因か? それならどうにかしないといけない。とりあえず直近でやったことと言えば、魔力生産施設を増築したことだ。
「生産する魔力が増えたからか?」
そうならなにかしら隠蔽・遮断する方法を考えないと。何か施設や改良がないか見てみると、魔石で魔力隠蔽を付けることができるのを発見した。
魔石のランクと同ランクの魔物までにしか効果が無いが、今はそれで十分だ。急いでこれを各種施設に付けた。これでしばらく様子をみるか。
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