第15話
アインが洞窟を駆ける。その手には重そうな大剣が握られているが、動きには特段の支障は見られない。駆けていく先にはコモンアントがギ酸を吐きだそうとしているが、それよりもアインの方が速い。
重いもので風を切り裂く音を出てるような勢いでコモンアントの頭目がけて大剣を叩きつける。今までだとガキーンと甲高い音を出しながらも甲殻を凹ませるくらいだったが、今回は頭をさっくり叩き潰したようだ。
「大剣は普通に扱えるようだな。ハンマーも特段重くて振りにくいなんてこともないし、重量武器でも問題なく扱えるか」
別の視点ではハンマーでコモンアントを叩き潰してる場面が見える。新しくした武器を試してもらっているが、重すぎて扱えないなんてことはないみたいだ。
俺が試しに持ってみようと思い持ち上げようとしたが、重くて持てるだけで振るうことはできなかったのを思い出す。
「もしかしてレベルが上がっても俺の身体能力は上がってないのか?」
そう思ったが他のジョブと比べる相手がいないからわからない。まあ仮にそうだとしてもその分他の部分で強くなってるだろう、いやなってほしい。
ツヴァイたちの方を見てみると、こちらは剣盾と槍持ちに分かれている。それで剣盾持ちのゴーレムが盾で防ぎながら、ゴーレムの後ろから槍で突いているようだ。
こんな風に戦ったり、武器を槍と盾に変えたりしてもらいながら戦っている。その結果ゴーレムたちは一通りの武器はある程度すぐに使いこなせるようになっていた。普通の人がどのくらいで習熟するかわからないが、ゴーレムたちの方が早いんじゃないか?
そんなことを思いつつもゴーレムたちの戦いは続いていく。今のところ致命的な攻撃は喰らっていないが、それでも少しずつ削られている。ここでコモンアントダンジョンのゴーレムの一体が次の階層への入り口を見つけた。
「これでコモンアントダンジョンも二階層に進出か……」
一先ずゴーレムたちに二階層への入り口を共有する。これで少しすればアインたちは集まるだろう。そういえば地図とか作ってないが、大体の道はわかるな。この先がもっと入り組んでたりしなければいいけど、そうじゃなければ地図を作った方が良いか?
とりあえず今までの道を地図に書き起こしていく。そうすると坑道というより蟻の巣に近い感じの地図が出来上がった。地図が書き終わると同時にアインたちも集まり終わったようだ。
「それじゃあ一先ずは集団で行動してみてくれ」
そう念話で指示して、アインたちを先に進ませる。見たところ二階層も一階層と変わりなさそうだ。先に進むと同じくコモンアントが出てきた。ここら辺の法則は他のダンジョンも同一と考えてよさそうだな。
一体のゴーレムを戦わせてみるが、随分と戦いにくそうだ。今までだとギ酸を噴射してきそうになっても、喰らう前に倒せるから逆にチャンスだった。だがこちらにギ酸を使ってきても間に合わないとわかると、中断して守りに入るのだ。それに見れば守りもしっかりと硬い甲殻の場所で受けたりしている。おかげで効果的なダメージを与えられていない。
「よしじゃあもう一体のゴーレムも参加してくれ」
そう指示を出す。するとすぐに決着がついた。流石に二か所同時に攻撃されればしっかりと守ることができなかったのだ。
それにしても二階層では知能が上がると思っていたがコモンドックとコモンアントでは、後者の方が賢そうだった。まあ目が血走っていたコモンドックと蟻が大きくなったコモンアントなら、コモンアントの方が元の賢さは上か?
「そうなると魔物によっては注意が必要だよな」
賢すぎてこっちのことを学習してくるかもしれないしな。まあ今すぐそうなるわけではなさそうだけど。とりあえずゴーレムたち二人一組で行動させる。こうすればコモンアントも楽に倒せそうだからな。
「しばらくはこの編成で行ってみるか」
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