第6話
「魔石付けただけで随分と動きが滑らかになったな」
コモンドックがいるダンジョンにきて、アインをアイテムボックスから出して動かしたが動きがよくなっている。前はまだ動きが硬いという感じだったが、今は鎧に慣れているような動きだ。
「じゃあアイン、コモンドックが来たら倒してみてくれ」
そう声をかけると首肯して返事をした。首肯して返事?
「もしかしてアイン、俺の言うことがわかるのか?」
問いかけるとまたもや首肯する。試しに右手を上げてと言えば右手を上げる、剣を構えてと言えば剣を構えるとしっかり理解してるようだ。
「もっと時間がかかると思ってたけど、意外と早く自動学習の効果が出始めたな」
まあ悪いことじゃないからいいか。気を取り直してコモンドックを倒すために探さないとな。ランク1の武器だとどのくらい強くなってるのか期待感に胸を膨らませる。
そうして歩いていると遠くからコモンドックが駆けてくるのを見つけた。
「じゃあ頼むぞアイン」
そう言って俺は少し下がってアインを前に出す。コモンドックはとりあえず近い奴から攻撃する習性があることがわかっている。
そうして剣を構えたアインは、間合いの中にコモンドックが入ったのと合わせて頭目がけて剣を振り下ろす。昨日は刃が無かったこともあって撲殺の形になったが、今日はしっかりと斬り傷ができている。というか威力が高いからか一撃で倒せているな。
「同ランクだと思いっきり振り下ろせば一撃で倒せるのか」
まあコモンドックしか知らないから、もしかしたらコモンドックがランク1でも弱いだけかもしれないけど。
「よくやったアイン」
そう声をかけながら持ってきたコモンドックの毛皮をアイテムボックスにしまう。次は犬ゴーレムを使ってみようと思い、アイテムボックスから取り出す。
「次は犬ゴーレムの性能知りたいから、その間の護衛を頼むぞアイン」
コモンドックを探して歩き、見つけたので犬ゴーレムを戦わせてみたが、これは……。
「なんというか犬がじゃれているように見えるな」
片方の目は血走ってて、片方はロボットだからほのぼのとした感じはないけど。犬ゴーレムがコモンドックの首に噛みついてるが、それを振りほどこうと暴れまくってる。というかなんだったら逆に噛みつかれている。
「真正面から噛みつかせるのはダメか」
とりあえずしばらく暴れさせたままにしてると、5分くらいでコモンドックの動きが鈍くなってきた。これなら爪でひっかいたり突き刺すこともできそうだ。そうして爪も併せて攻撃することでようやくコモンドックは倒れた。
「うーんとりあえず戦力としてならアインのほうが上だな」
犬ゴーレムのそばに寄って、コモンドックの毛皮を回収する。犬ゴーレムの首も少しボロボロだ。
「でも駆け寄るときの速さは魅力的だよな。できれば俺が乗れればよかったけど、乗れる大きさに作ってないからな」
脚の速さを活かすなら偵察? でも視覚が共有されてないから偵察してもわかんないよな。それこ自動学習あればわかったかもしれないけど。
「となると残りは……囮か?」
適当にそこらへんを走り回らせてコモンドックを引っ張ってきて、それをアインに倒させるのはどうだ?
「まあやってみればいいか、アイン」
そうしてアインを呼んでこれからやることを説明する。とりあえずギリギリ視界に映る程度の距離を走らせるか。そうしてちょっと走らせて戻らせると、2匹のコモンドックが釣れた。
「よし、頼むぞアイン!」
2匹のコモンドックには少し距離があるから、最初の1匹目を素早く倒して2匹目を相手してもらおう。それがゴーレム使役で伝わったのか1匹目に剣を叩きつけるが、浅かったのか一撃で倒せない。しかしそれがわかっていたのか返す刃でもう一撃与えて倒した。
「おおー!」
そこに2匹目が来たが1匹相手に負けるはずがないアイン。順当に倒して素材を持ってきた。
「すごいなアイン!」
とりあえず素材を受け取りながらめちゃくちゃ褒めた。というか2撃目がスムーズだったからあらかじめ考えてたんだろう。自動学習にしておいてほんとよかった。
「そういえばアイン、もしかして俺の考えてることが少し伝わったりするのか?」
そう聞くと首肯して返事をする。試しに心の中で左手を上げて思うと、左手を上げる。一方通行の念話みたいな感じか。
「スキルもまだまだ分かってないことが多いな」
とりあえず今の感じならなんとか倒せそうだな。もうちょっと試してみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます