第2話

 外出用の服に着替えて外に出る。窓から見えてわかっていたが、電柱が倒れてたりして世紀末っぽいな。それに怒声が聞こえてたりもするし。まあこんな世界になったしできる限り人とは関わらないようにしよう。そうじゃなくても関わりたくないし。


「電柱をアイテムボックスに仕舞えるな。使えるのかわからないけど」


 そうしていろいろなものを仕舞ったところで物質鑑定があるのを思い出した。アイテムボックス内に使ってみたところ問題なく見ることができた。


コンクリート ランク0

魔力が一切含まれていないコンクリート。


鉄 ランク0

魔力が一切含まれていない鉄。


土 ランク0

魔力が一切含まれていない土。


 こんな感じで魔力が含まれていないシリーズのランク0が手に入った。とりあえず素材としては使えそうなのと、思ったより入れることができたから日が暮れるまで集め回った。

 その途中で人の集団がコンビニなんかに見かけた。きっと食料を取りに行ってたんだろうが、そもそもそれで何日持つというのだろうか。


「どうせダンジョンに行って食料見つけないとそのうち生きていけなくなるし。5日くらいならカップ麵とかで凌げる。その間にダンジョン探索の戦力を整えた方が良いだろう」


 もちろんこれが間違ってるかもしれないが、それならそれで仕方ない。まあそんなこんなでたくさん素材が集まった。だからスキルのゴーレム製造を使ってみることにした。

 結果二種類の製造方法があることが分かった。

 まず一つはプリセットに最初からあるゴーレム製造。関節とかがなくてなんというかどう動くんだこれ?って感じの人型ゴーレムだ。

 次が手動で作るゴーレム製造。これはゴーレムの形とかを自由に弄ることができる。四足歩行の獣型から虫っぽいデザインの昆虫型っぽいのまでできた。


「まずはプリセットのゴーレム製造を試してみるか」


 そうして出来たのがこののっぺらぼうみたいな顔をした土ゴーレムだ。動きを見てみるが遅い。パンチはできるがキックはできないし、細かいことも向いてなさそうだ。結論使えなさそう。

 使役を切ると土に戻ったのでアイテムボックスに仕舞う。


「とりあえず手動で作ってみるか」


 まずはどこまで弄れるか試してみたが、ほとんど弄れた。腕や脚を増やしてみたり、人の顔というか人形を再現出来たりもした。となるとやることは一つ。人形を作る……と言えればよかったけど同じ人形がたくさんいるのを想像したら怖かった。だから鎧騎士みたいなデザインで作ることにした。


 そうして気づいたら朝になっていた。もちろん一睡もしていない。おかげで少し眠いがとりあえずゴーレム製造を試してみる。


 気づいたら夜になっていた。どうやらゴーレム製造にはMPを使うみたいで、0になったことで失神したみたいだ。だがそんなことはどうでもいいぐらいのものが目の前にあった。鎧騎士のゴーレムが目の前にいたのだ。


「おおぉ!」


 思わず大きな声を上げかけたがかろうじて抑えることができた……と思う。たぶん、きっと。

 まあとりあえず目の前の鎧騎士を見ていく。素材は鉄で塗装とかはできてないから色はそのまんまだ。手首や関節が精巧にできていて、まるで本当に中に人がいるみたいな出来だ。まあ本当に人が入っていても空気穴とかないから死ぬけど。


「とりあえず動かしてみるか」


 そうしてゴーレム使役で動かしてみると、あののっぺらぼうゴーレムとは比べ物にならないほどスムーズに動いた。ジャンプやキックはもちろん、腰に差していた剣を振るうこともできた。


「これなら魔物を倒すことができるか?」


 できればもう一体作りたいところだけど、問題はまた失神することなんだよな。もしかしたらもうダンジョンに入ってる人がいるかもしれない。そうなるとだいぶ出遅れることになる。少し悩んだが決めた。


「ダンジョンに行こう」


 もう一体連れて行ったって、勝てないときは勝てないだろう。それに二体同時に操れるかもわからない。それなら一体を集中して操った方が良いという判断だ。


「とりあえずご飯食べるか」


 いつもならネットを漁りながら食べるけど、ネットに繋がらないからできない。まあ四足歩行のゴーレムとかを考えながら食べたけど。

 とりあえず素材集めの時に見つけたダンジョンぽい場所に行ってみる。なんか見たことない塔ができてたんだよな。


 行ってみると周りには誰もいなかった。夜中だからか? まあ好都合だからいいけど。


「よし、いくか!」

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