世界浸食のダンジョンブレイク ~ゴーレム使いが行く崩壊生活~

天星 水星

第1話

「つまりそのダンジョンのせいで、今の世界はおかしくなったということか?」

『はい、その認識で間違いありません』


 脳内に『世界』とやらの声が響く。この声によると今の世界の常識は前と比べておかしくなっているらしい。


 例えば現在の星には人間以外の生物が存在しない。犬猫から魚、細菌なんかもいなくなっている。

 そして人間にはHPやMPなんかが追加された。HPがあれば死なないし、MPがあればスキルを使える。

 それで個人で異なるジョブ。異なると言っても共通で選べる剣士や魔術師なんかのジョブがある。もちろん希少なジョブもあるが、強いかは使う人次第とのこと。

 最後にこの世界を侵略しているダンジョンとその尖兵の魔物。まあこんな感じで世界は変わったようだ。


「それで俺のジョブはなんだよ」


 普通ならもう少し喚くのだろうが、どうせ喚いても仕方ないだろうの精神でジョブを聞く。


『あなたに適正があるジョブはこちらになります』

剣士 Cランク

戦士 Dランク

赤魔術師 Dランク

青魔術師 Dランク

黄魔術師 Dランク

緑魔術師 Dランク

鍛冶師 Cランク

裁縫師 Cランク


「あーランクについて聞いてもいいか? それと特定のランクだけ見れるか?」


 脳内に表示されたが、だめだ多くてわけわからん。とりあえずランクについて聞いて、絞れるか聞いてみる。


『ランクとは個人の才覚を表しています。Cが平均でEが才能無し、Aが大天才です。現在はEランクを除いて表示しています。特定のランクだけ見ることは可能です』

「じゃあB以上のランクのジョブを表示してくれ」


細工師 Bランク

ゴーレム使い Aランク


「細工師とゴーレム使いか……」


 ゲームとかだと細工師は生産職だよな。ゴーレム使いだとどうなんだ?


「ゴーレム使いの詳細知りたいんだけど」


ゴーレム使い Aランク

ゴーレムを製造・使役することができる。使役できるゴーレムの数は才覚・成長によって異なる。


「……こんだけ?」

『これだけです』


 何もわからねえ。とりあえずゴーレムを作って戦わせることはできること、そんでAランクだからたくさん使役できる。ゴーレムを作れないとかの落とし穴はなさそうだ。


「なあ、Aランクの剣士とゴーレム使いが戦うとどうなる?」

『わかりません』


 だよなぁ、と思ったら『……ただ』と続きがあるようだ。


『Bランクの剣士とAランクのゴーレム使いが100回戦うと、99回ゴーレム使いが勝ちます。もちろん装備差などがあれば別ですが』

「ふーん、そっかぁ……」


 100回やって99回勝つ。つまりそれだけBランクとAランクの格は違うのか。


「それじゃあゴーレム使いにしてくれ」

『決めたら変えられませんがよろしいですか?』

「ああ」



荒谷あらや形徒けいと 男性 ゴーレム使い Aランク

レベル1

HP 100/100

MP 100/100

スキル

ゴーレム製造lv1

ゴーレム使役lv1

使役距離延長lv1

使役数増加lv1

アイテムボックスlv1

物質鑑定


「ふーんこんな感じなんだな」

『見たいと思えばステータスはいつでも見ることができます。またそれぞれの詳細を確認することもできます』


レベル……魂の位階。魔物を倒すことで上がる。

HP……存在強度。0になると死ぬ。

MP……精神強度。0になると失神する。

ゴーレム製造……ゴーレムを製造するスキル。レベルによって扱える素材が変わる。

ゴーレム使役……ゴーレムを使役するスキル。レベルによって扱える数が変わる。

使役距離延長……レベルによって使役できる距離が延長する。

使役数増加……レベルによって使役できる数が増加する。

アイテムボックス……物を亜空間にしまえるスキル。レベルによって亜空間の広さが変わる。

物質鑑定……物の情報を知ることができる。


「とりあえずこんなところか、それで『世界』はなにをして欲しいんだ?」


 さすがに常識が変わりましたから頑張ってください! だけなわけないよな。


『話が早くて助かります。その力を使ってダンジョンを駆除してほしいのです』


 そう『世界』は言うが、ダンジョンを駆除ねぇ。


「駆除する方法があるのか?」

『はい、まずダンジョンにはランクがありましてランク1から10まであってランク1から成長してランク10になります。ランク10になる前に内部にいるダンジョンボスを撃破してください』

「ダンジョンボスを倒せばそのダンジョンは崩壊するのか?」

『はい、その時はダンジョン外に転移させます、またダンジョンは増えますのでその都度駆除してください』


 駆除するたびに増えるとかいたちごっこじゃねえか。といってもこれしか方法がないんだろうな。あったらそっちやってるだろうし。


「よしわかった、まあ生きるためにもやらなきゃいけないだろうしな」

『その通りでございます。それでは以上になりますご健闘を』


 それっきり『世界』の声は聞こえなくなった。


「じゃあまずはゴーレムの素材集めからか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る