二度追放されたダンジョン配信者、『修練と時の部屋』スキルでレベルを上げ、配信ざまぁでバズってしまう ~一瞬で急成長したように見えるけど別時空で1000年努力してます~
第6話 『修練と時の部屋』がチートスキルな件 ①
第6話 『修練と時の部屋』がチートスキルな件 ①
「は? どこだここ?」
俺はその場でくるりと一回転した。
見渡す限り真っ白な空間だった。
さっきまで病室でドラゴンたちに囲まれていたのに。
「なんだこれ」
目の前に、白い台座があった。
ぽつんと冊子が一つだけ置かれてあって、表紙を見ると日本語で『取扱説明書』と書かれていた。どうもご丁寧に。
『ようこそ【修練と時の部屋】へ。ここはあなたの住む世界とは時間の流れが違う、別時空の空間です』
「はい?」
似たような部屋、ジャンプ漫画で見たことあるぞ?
取説の要点をまとめると、以下の通りだった。
─────────────────
①この部屋で過ごした時間はあなたの世界だと一瞬の出来事です
②この部屋は1日単位(地球時間)でご利用できます
③1日1
④この部屋にいる限りあなた不老不死です
⑤ここで身につけた技能のみあなたの世界に持ち帰ることができます
⑥修練に必要な道具や環境はご用意があるのでお申しつけください
─────────────────
『それでは、極上の修練ライフをお過ごしくださいませ』
「まったく何が何だか……」
〈【鳥籠の卵】があなたに365
〈【鳥籠の卵】から神様案件『いじめられっ子』を受注しました。あなたに拒否権はありません。ただちにプロモーション動画の配信を始めてください〉
「ちょ、おい、神様」
神様に抗議する暇もなかった。
突如、大地震が発生し、転倒してしまったからだ。
「痛……」
俺は手をついて起き上がろうとし、異様な空気を感じて動きを停止した。
振り返っちゃいけない気がした。
しかし、背中に恐ろしいほどの威圧を感じ、振り返らざるを得なかった。
「……っ!!」
俺の背後には――
ミスリルゴーレムがいた。
「ちょおおおおおおおおおおお!?」
〈達成条件:1年以内にミスリルゴーレムの攻撃を受けて生き延びる〉
〈成功報酬:生き延びる技能の習得〉
〈失敗ペナルティ:【鳥籠の卵】のフォロー解除〉
「ちょっと神様!? 攻撃を受けるって、攻撃を受けるって意味ですか!?」
自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。
「ちょ、まっ――」
立ち上がって逃げ出そうとしたときには、
すでにミスリルゴーレムの巨大な拳が俺を潰していた。
「――は……! え……? 生きてる?」
パニックだった。
何が起こったかわからなかった。
「いや、死んだよな、あれは」
俺は10メートル先をじっと見据える。
ミスリルゴーレムの振り下ろした拳の下に、真っ赤な血の池ができあがっていた。おそらく、かつて俺だった者の肉塊だ。やがて真っ赤な血の池は光の粒子となってこの空間から消えていく。
「俺は確かに潰されたんだ」
頭蓋骨の砕ける音も、脳みそが破裂する音も、俺は確かに聞いた。
「不老不死ってそういうことかよ」
〈【鳥籠の卵】があなたの考察に興味を抱いています〉
「死んだらリスポーンされるんだな、ダンジョンのモンスターみたいに」
〈【鳥籠の卵】があなたに解答に拍手を送っています〉
「つまり、何度死んでもいいから命がけでミスリルゴーレムの攻撃を受け切るスキルを習得しろってことか。案件が『いじめられっ子』って……1年間殺され続けることのどこがいじめなんだよ。ドラゴンが可愛く思えるぞ」
俺は大きくため息をつき、そして妖精カメラを起動させた。
「『神様は乗り越えられない試練は与えない』。有名なフレーズだよな」
不人気な俺を2年間も推してくれた神様が、無意味な案件を受けさせるとは思えなかった。神様から見た俺は、ミスリルゴーレムの攻撃を受け切る可能性を持ってるってことだ。だったら、やるしかない。やればいいんだろ。
「ゴキブリチャンネル、ライブ配信……始めます」
〈【鳥籠の卵】が案件に取り組むあなたに恍惚としています〉
こうして――
この神様しか視聴者のいない、限定ライブ配信が始まった。
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