第12話 【フェニックス】遭遇したユニークモンスターまとめ【切り抜き】
ユニークモンスター。
最初に発見された個体は【
最後に発見された個体は【
公開されている計149体のユニークモンスターの中でも強弱は存在する。【
また────新たな姿へと変貌し、探索者という敵対生物に適応する個体もまた……存在する。
ー ー ー ー ー ー ー
「おい」
「……」
「
「そう、らしい」
「はァ~~~?」
【
「見るからに
「私も、よく、分からない……」
「チッ……ったくよぉ」
片手はのんきにスマホを構えており、武器や防具は身に着けずジャージと覆面だけ。
そんな男が、ニヤニヤと口角を上げながらフェンリルを見ていた。
「あのーすいません、探索者の方ですかね?今ちょっと配信してましてwwモンスターじゃないならどっか行ってくれませんかねww」
「…………なぁおい、コイツ
「────良い、と、おも……」
「────だよなァ!!」
刹那、フェンリルは飛び込んだ。
「死ねッ!!」
ストレートに、真っすぐに、しかし素早く強烈に。彼は右手で正拳突きの構えを取り、そして────────
「……ハッ、やっぱ一撃かよ」
────覆面の男の腹部を貫いたのだ。
「ヘビ!もう一回『トリ』の居場所を確認して来ようぜ。オレら馬鹿だからよぉ、なんか間違えてたかも知んねぇし────」
「……そう、ね────貴方は、本当に、愚か」
「んだよ、『トリ』の居場所間違えたんならお前にも責任が────」
「相手の、息の根が、止まる前に、よそ見するなんて。ヤバいくらい、愚か」
「……あ?」
フェンリルは確かに、覆面の男の腹部を貫いた。
────だが、貫いただけだった。
「……モンスターじゃないならどっか行ってくれって言ったんだけどなぁ。攻撃してきたって事はやっぱり────お前ら、『面白い』ネタになるフェニよ」
「ッ!?!?」
笑っていたのだ。
腹部を腕で貫かれ、絶命していてもおかしくないほどの傷を受けても尚────その男は笑っていた。
「っ、コイツ……!」
「そうだ、腕抜かなくて良いの?」
「あ?」
「────俺の再生力に負けて、腕千切れちゃうかもだけど」
圧迫感。
フェンリルの右腕に伝わる、ギュウギュウと締め付けられるような感覚と────熱。
「クソが……!」
勢いよく引き抜くと同時に、フェニックスの腹部を黄金の炎が纏い……一瞬にして傷は修復された。
結果的に穴が空いたのは、彼のジャージのみとなってしまった。
「犬」
「んだよッ!」
「撤退、する?」
「……誰がするかよ。だって今、オレは確信したぜ?コイツは間違いなく『トリ』だってよォ!」
「そうじゃなくて、ただ単に、逃げないと私達が────」
直後、パチンという指の鳴る音が響く。
「【不死鳥の劫炎】」
下層70階、階段から少し離れた空間。
「逃げんなよ。面白くないから。ま、そもそも逃がさないフェニよ」
黄金の炎がフェンリル達の退路を塞ぐようにその場所を覆い────不死鳥の祭壇が、フェニックスという男のステージが完成する。
「何てったって、もはや俺とお前達は……一つのエンターテイメントなんだからな」
ー ー ー ー ー ー ー
チャット欄を見る余裕なんて無い。
今、目の前にいる二人……いや、二体。
片方の白髪の男はまだ良い。ただ殴って来るだけならいくらでも再生して対応出来る。
だが────────もう片方の女。髪の毛が蛇になっているとかいう、もうメドゥーサじゃなかったら何なのってレベルのメドゥーサ!
(目を合わせた者を石化させる能力……俺のスキルがアリなら、こいつも当然メドゥーサらしい事をしてくるだろう)
だから……本気を出すしか無い。
(こういうのは今まで配信外でやってたんだけど……少し、フェニックスチャンネルというコンテンツの限界を見たくなった。ここで俺がこいつらを倒したら……人型のモンスターなんてのを倒したら、もっと面白くなるかもしれねぇ!)
「上等だッ!闘おうじゃねぇか!だが、再生するってんなら────再生速度を追い越すまでだッ!!」
両腕を構えた白髪の男の手が変形し─────野獣のような鋭い爪が生えた。
「オラァァァアッ!」
大振りの爪撃。左腕で受けるが─────爪がくい込んだ瞬間、よく煮たじゃがいもみたいに一瞬にして崩壊する。
(俺の『レベル』的にも素の防御力はそこそこあるつもりだったけど……コイツの力はそれすらも上回るか)
どうやら力だけはあるみたいだが、無駄だ。
「オラッ!オラッッ!オラァッ!!」
すかさず振り下ろされる爪、爪、爪─────。
だが、例えば……液体を引っ掻き続けたところで、それが何になるというのか。浴槽いっぱいに入った水に攻撃し続けて、何の意味がある。浴槽から水を零れさせれても、俺の身体には蛇口が直接繋がっている。
「ッ……」
俺の再生に限界が無い事に気付いたのか、男の顔に陰りが見えた。
「無意味でワロタ。ひっかくって言うのはさ……こうやんだよッ!」
右足を踏みしめ、血液を指先に────爪に集中させる。
「【不死鳥の抉爪】!」
振り上げた右足は鳥類特有の、鋭利で獲物を捕らえるのに特化した形状に変貌している。そしてそれを思いっきり、遠慮なく────振り下ろす。
「ぐッ……!!」
防御姿勢を取った男が両腕から血を噴出させながら後退する。肉を裂く感触はあったが、相手の回避行動が速かったから深くは傷付けられなかった。
「待って、犬」
「ハハハハハ、ハハハハハハハハッ!!待てるかよ、こんな強敵相手にッ!どうせオレもお前も、この『トリ』もまだ『不完全』なんだ。今を楽しもうぜ……!」
「そうじゃ、ない────この人間、おかしい」
「あ?そりゃ『トリ』なんだから……」
「私達とは違って、『トリ』は人間として、生きている────なのに、なのに……」
念のため直視はしていないけど、メドゥーサが俺を強くにらんでいる……気がした。
「────どうして、人間の姿をしている私達を、当然のように攻撃できるの?」
「……あ?」
「そんなの、おかしい。モンスターならともかく、人間を躊躇いなく攻撃出来る人間は、少なくとも人間社会では、異常者……」
「…………そう、なのかァ?」
「────貴方、何者?」
メドゥーサの方は見れないが、白髪の男の視線からは『恐怖』や『尊敬』に近い震えを感じる。戦闘狂らしく目の前の敵に対して『歓喜』しているとすら受け取れる瞳の輝きだ。
対して蛇女は声から察するに、相当俺の事を警戒しているようだ。
「ふっ……ふふふ。良いね!」
異常者呼ばわりは慣れている。
でも、まさかモンスターに異常だなんて言われるとは────。
「炎上系配信者にとっては最高の誉め言葉だな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます