オカ研の日記

これはウチがオカ研に所属し

当時地域ではそこそこ有名でクソ怖いと有名だった心霊スポットへ後輩ちゃんと行ったときの話である



当時私と後輩ちゃんは私立の高校に通い放課後オカルト研究部として活動していた……

授業が終われば部室に走り面白そうな場所に目星を振り黒板に貼り付け後輩ちゃん達と会話し遠征の計画を建てたりブログを書いたり充実した日々を過ごしていた



そしてそんなウチ達にとある情報が巻き込んできたのである

地元にポツンとある廃墟が自殺の名所で幽霊が出るとネット掲示板で取り上げられていたのだ

ウチは早速そこについて調査を行い

そこがバブル期にホテルとして開業し初期中期は順調

後期に権力争いとバブル崩壊によって従業員の自殺と倒産

そして放火によって地元のヤクザが殺されたという情報だった


後輩ちゃん達はその奇妙な話に半信半疑だったがウチがなんとか説得を続けて次の遠征先に決定


翌月の第二日曜日に行く事に決まった

その間ウチ達は各々準備を行い

いざその日がやってきたのだ


「よぉ〜後輩ちゃん達〜おやつは持ったかな?ライトは?塩は?聖水は〜」

「先輩……聖水なんて物はありませんよ」

「おぉ、後輩ちゃん2号、今日も良いツッコミだね〜」

「誰のせいですか、全く」

「うんうん良い子だねぇ、ウチとは真反対だ‼」

「ちゃんとしてくださいよ?先輩、私のオカ研伝説の一ページになるんですから!」

「渚も変な事言うなよ、全く……」

「いいじゃあないか!私は伝説の女になるのだからな!先輩‼行きましょう!」

「そうだねな、皆集まったみたいだし行こうか」

「おー」


そんな感じでウチ達は自転車でその心霊スポットへと向かう事になった


到着した廃墟は正に焼けた跡の様な感じで瓦礫が散らばり焦げが壁に張り付いている

ウチはその様子を写真に収め遂に廃墟へ足を踏み入れる


中は荒らされているのか

物が散乱し非常に汚い物だった


「うげ……先輩これ大丈夫なんですよね」

「大丈夫だよ〜ウチに任せとき‼」

「うっひょ〜やっぱ先輩ぱねぇっす‼」

「お前も少しは危機感を持て、廃墟なんて何が出るか分からないんだから」

「んー、まぁ先輩居るし大丈夫でしょ」

「任せるんだ後輩ちゃん達〜」

ウチはそう言い場を和ませ奥へと足を進める


奥へ進めば進む程物の散乱は酷くなり

故意的な物を感じずには要られなくなる

そして


「先輩〜なんですかあれ」

そう

ウチから見て右のドアに黒い影がある

「せ、先輩、これは流石にやばくないですか……」

「安心しなよ後輩ちゃん、」

「おっ!先輩何か手立てがあるんですね!」

「任せ給え‼」

そう言いウチは徐に袋から神社で汲んできた水の瓶を一つ持ち思いっ切りドアへとぶん投げた

すると


「き……消えた?」


そう消えたのである

「ウチに任せとけば何とかなるって言ったやろ?」

「ま、まさか本気でやるとは思っていませんでした」

「わ、私は先輩を信じていました‼まさか幽霊まで撃退するなんて‼私の伝説のページ数が増えていきそうですよ‼」

「わっはっはっはっは!もっと褒めろ褒めろ‼」

「てかその水なんですか」

「ん?この水か?この水はなぁ……実家の近くある幼い頃お世話になった神社の水だ」

「ま、マジですか……」

「マジだよ、そんな事でウチが嘘付くわけ無いじゃないか、」

「罰当たりですね……」

「何を‼先輩は私達の伝説を残すために頑張っているんだぞ‼それを罰当たりだなんて酷いじゃないか‼ね?先輩」

「その通りだ!後輩ちゃん達を守る為にやったことだからな!クックック」

「ひゃーかっこいい‼」

「はぁ……行きますよ……」

「お、そうだな……そろそろ進むか、あれっライトライト……あった」

ウチは暗くなり始めた周囲を照らすためライトを起動

そして、再度歩き始めた


「暗いですね〜」

「本格的な中だから、当然だ」

「先輩、本当の本当に大丈夫なんですよね?さっきあんなの見たばかりですけど」

「大丈夫だって〜、なんかあればまた投げつければ良い」

「本当に大丈夫なんだろうか……」

「うるさいなぁ‼先輩は大丈夫だって‼あんたも男ならしっかりしなさいよ、そんなんじゃ彼女出来ないぞ!へたれ」

「な、なんだと!良いだろう先行ってやるよ絶対見返してやるからな」

「辞めなよ危ない……素人が廃墟なんて怪我するんだから……ウチの後ろに絶対に居ろよ……」

「はい……」

「分かればいいんだ分かれば、これも後輩ちゃん達を守る為だから……」


ウチらは客室棟へと足を踏み入れ

大広間まで来ていた

そしてウチらはそれを明確に視認してしまったのだ

長く黒い髪に花柄の黒い着物に長い包丁を持った影に


「動くなよ後輩ちゃん達……」

「う、急に止まってどうしたんで……」

「んー?何?私にも見せ……」

ウチらは全員固まり少しづつ後退る

周囲を注意深く見渡しながら客室棟を出る

すると物凄い物音と共に何かが走る音

ウチは後輩ちゃんを押しポケットから神社の水を出し投げつける


「後輩ちゃん達は先に外へ‼」

「あ、はい!」

「せ、先輩はっ」

「ウチなら大丈夫や、先に出とれ」


後輩ちゃんたちは一瞬悩んだが意を決した表情で走り出した


「ほならサシの勝負やな……来いよクソ幽霊……」


耳鳴りが鳴り出し

影がこちらへ近付く度に強くなる


「これでも食らえ‼」

ウチは袋の塩を影に投げ付け

ボトルに入った水を思いっきりぶっ掛けその隙に走る


影は塩と水が命中し怯んでいるのかその場に立ちウチを見ている



その後何もなく廃墟から出る事に成功した



「ハァハァ……」

「だ、大丈夫ですか先輩‼」

「ゆ、幽霊は……」

心配そうに駆け寄る後輩達にウチは手をグッドにする


「ふぅ……写真も取れたし今日は打ち上げに二郎でも行こか」

「あっそれ良いですね!私も行きます〜」

「そっちも打ち上げ参加するかい?」

「先輩の奢りなら、」

「ぬふふふ、あたり前田のクラッカー、今晩はウチの奢りだ!行くぞー」

「おー」

「……」

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