ショッピングモール

これはとあるショッピングモールで起きた衝撃的な話である

思い出話として日記に記す




私はその日久しぶりの休日を満喫するため少し遠くの大きなショッピングモールに訪れていた

そのショッピングモールはその県最大級の大きさで

映画館もジムも観覧車だって揃っている

私も幼い頃に1度家族と来てそれっきりだったのだ、


では何故今日ここに来たのか

それは……



「おーい雪〜」

「はいはーい」

そう、大学からの友達がそのショッピングモールで開催されるエジプト博のチケットを当て一緒にどうかと誘われたからである

「それじゃあ行こうか」

「りょ!」

「いやぁ、楽しみだねぇエジプト博」

「椎名と考古学的な物を見るなんて何年ぶりだろうか」

「ん〜大学時代に1回行ったから5年かな?」

「もう、そんなになるのね」

「まぁ、今までは仕事があったからね!今日はいっぱい遊ぼ」

「そだね、今だけでも仕事の事なんて忘れて楽しもうか」


私達は予定通りのバスに乗り目的地へと向かう

普段はバスなんて高級な手段は使わないが椎名が当てたチケットには交通費は運営負担と書かれているのだ


私達はバスの中でそれぞれの近況や昔の話などをして盛り上がり目的地へ到着するのを待つ、

バスに乗って数時間は待っただろうか

そうやって考えていると遂に


「ショッピングモール前〜ショッピングモール前〜」

アナウンスが流れてバスが停車する

私達は荷物を持ちチケットを見せ降車する


「これがあのショッピングモールかぁ」

「いつ見てもデカイな……」

私達の目の前にとても大きくて開店当時の綺麗な状態を保つショッピングモールが現れる

私はその大きさに気圧されながらも進み中へと入っていく


中に入ると物凄い熱気を感じる

それ程人が居るのである

人々が我先にと動き回り何が何だか分からない程である


私達は人混みを避けエレベーターまで辿り着きエジプト博がある広場へと向かう

広場には子供や家族連れの人達がいるのみで中のような事にはなっていない


「エジプト博ですぁ?」

私達が歩いているとそう声をかけられる

「あ、はいそうです」

「でしたらこちらへ……」

どうやらエジプト博従業員でチケットの所有者を探して案内している様だ


そして私達は従業員に案内されるがまま

エジプト博の為に仮設されたと思われる施設の中へと歩を進める


中は真っ黒な布で覆われており光は天井に吊るされたライトのみ

私達は従業員にヘッドホンと眼鏡を渡されを渡され耳に装着するよう指示される


「コレハオンセイアンナイデス」

古臭い機械音声が流れ私達に案内を始めた

どうやらここには一人づつ入らなければならない様で従業員は私に先に行くように促した

私は音声案内に従い中へ入って行く

中には少し長い廊下があり少し歩いた所でプロジェクターが起動する

エジプトのピラミッドや壁画等が映し出され音声案内の歓迎の言葉と共にそれは始まった


廊下を抜けるとそこにはエジプトで発掘されたと言う猫のミイラや猫の彫像、鳥の壁画等が置かれる


「へ〜」

私はその神秘とも言える古代の遺物に感動を覚えながらも音声案内に従い進む


次の部屋には少し大きな彫刻やミイラに置かれていたという金色に光る昆虫等が置かれている

神々への信仰や死者への考え等が説明され

私はその古代の狂気的な神秘に大きな興味と好奇心の様な感情を抱きながら進む


「ツギハタイケンシテミマショウ」

そんな事を音声案内が言う

音声案内の言うとおり触る事が許された彫像などをこの手で触れ肌で感じながら奥へと進む

すると

「これは棺桶?」

蓋の開けられた棺桶が置いてあるのだ

「ちょっとだけなら……」

私は進むに連れて肥大化する好奇心に負けて解放された棺桶に入ってしまう

全身を棺桶に入れると妙な悪寒とさっきまであった筈の好奇心が消え

代わりに漠然とした恐怖を感じ棺桶から脱出する


棺桶から脱した私は次の部屋に行っても音声案内が聞こえない事に違和感を覺えたが進み遂に出口へ辿り着く事に成功した



「やっと終わったぁ〜」

従業員に出た事を伝えようとグッズ会計の様な所へ向かうは人は居らず

それどこか外にいた筈の子供連れの人達すら姿を消していたのだ


「何……これ……」

私は人の気配すらない広場に恐怖を覚え彷徨う


何か何処かへ行かなければならないという思考が頭の中に流れ出しモールの中へと入って行く

モールの中にも人は居らず正にもぬけの殻である


私は誰も居ないショッピングモールを歩き続け出入り口に辿り着いた

しかしその時の私にショッピングモールを出るという選択肢は無かった

出たら戻れなくなると

そんな予感がするからだ


私は唯一の希望も潰された絶望的な状況で何をするでも無くただ歩いていた

しかしそんな状況でも好奇心はあるらしい

私は誰もいないこの状況を利用して普段は入る事のない場所を探索する事にした


店の裏や映画館の倉庫等

あらゆる所を探索し遂に従業員専用扉の前に来ていた


すると突然私は妙な違和感に苛まれたのだ

周囲に不穏な空気が流れ出す

しかし私は気にせず扉を開けて中に入る

そして後ろに妙な気配を感じると共に頭に大きな衝撃が入り体が地面へと倒れる

私はそこで一旦意識を失い

次に目を覚ました頃にはバスに座っていた


後で椎名に事情を聴いてみると

私がいくら待っても出口に現れず従業員が見に行くと入ると映像が流れる棺桶の中で意識を失っており従業員が近付くと起き上がり妙な事をブツブツと呟いていたらしい

その後椎名もエジプト博を体験しいい感じの時間となりバスに乗ったみたいだ


私にそんな記憶は無く無人のショッピングモールの事を歌えてもそんな事ないっしょと茶化され解散した



何が起きたのか私には分からないが少なくとも良い事では無さそうだ

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