第2話 国家の判定に抗議した芥川龍之介
芥川龍之介は、自身の作品に対する批評に対し、自身のペンではなく法律の条文に論点をすり替え、裁判官という権威にすがるなんてことはしませんでした。
むしろ、生前「英雄の器」や「将軍 1921年・大正10年」という2つの作品によって、大日本帝国(政府・マスコミ・軍部・警察)が作り上げた「乃木希典という偶像」に対し、強く抗議する人間でした。 * 乃木希典(1849~1912)
昔から日本では、芥川龍之介のような東大(東京帝国大学)出といえば上級国民扱いですから、あの恐ろしい言論封殺の恐怖政治時代、小林多喜二(1903~1933)のように、警察署内で惨殺されるということはありませんでしたが、(芥川龍之介の作品からすれば)自殺などするはずがない人間であったにもかかわらず、35歳の若さで「自殺」ということになってしまいました。 * 芥川龍之介(1892~1927)
芥川龍之介とは、300万円の名誉のために戦ったりはしなかった。
嘘の社会や偽物の権威という巨悪に「命がけで戦う」小説家でした。
だからこそ「名誉ある」芥川賞とよばれるのです。
しかし、結果として、裁判で(芥川龍之介ではなく)自分の名誉を守ったということで「芥川賞」の名にふさわしいと、後世、名が残ることでしょう。
2024年7月27日
V.1.1
平栗雅人
時計仕掛けのオレンジ 「芥川龍之介の憂鬱」 V.1.1 @MasatoHiraguri
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