第10話 隠しダンジョン④

「2人ともすごいですね!まさか、ここまでだとは思いませんでしたよ」


 俺達は山賊の住処の近くに集団で屯っている山賊達を倒した。ほぼワンパンで倒してしまった事に、相手のリーダー格の剣士は大袈裟に褒めていた。


「そう言えば2人ともクラスを伺ってもよろしいでしょうか?」

「暗殺者です」

「剣士!」

「なるほど。なら山賊の住処では、前衛を任せてもよろしいでしょうか?」


 早速動いたか。

 剣士であるリンを前衛に任せるのは分かる、だが暗殺者である俺を前衛に任せるっておかしい。それになんでタンカーである重剣士は俺らの後ろにいるのもおかしい。


「分かりました」


『(ククク、やはり初心者だな。俺の提案に不満な顔すら浮かべないって。暗殺者が前衛に立って自殺行為に等しいのに。すぐにその済ました顔を泣きズラに変えてやるよ)』


「では、よろしくお願いします」

「はい」


俺とリンは、奴らの前に立ち洞窟の奥に進む。

 道中、山賊の仲間と出くわすが、俺とリンや後衛にいる弓師や魔術師が倒していく。


「お前ら誰だ?!」

「あちらが今回のボスの様ですね。ボスを倒せばクエストクリアになります」

「了解」


「...リン、すぐに倒さなくて良い。わざと苦戦するフリをするんだ」

「はいよー」


奴らに聞こえない様に、リンに耳打ちをする。

 いまの俺たちの攻撃力なら、秒殺してしまう可能性がある。もし奴らより俺達の方が強いと分かれば引き下がる可能性がある。ここはわざと弱いフリをして、逆に誘き寄せてやる。


 俺のリンは、通常よりも遅く踏み込んで、山賊のボスの間合いを詰める。ボスを倒さない様にと、わざと初心者のフリをして当てない様に攻撃した。


『(ククク、やはり初心者だな。暗殺者の特性はスピード、それなのに遅すぎる。適当にステータスを振り分けてるな?そんな初心者にはその装備は勿体無い。俺達が活用してやんよ)」


ーーーーー


装備[山賊のネックレス]


等級:レア

制限:なし

性能:なし

効果

・プレイヤーを倒すと一定の確率で、装備しているアイテムを3つ落とす事がある


ーーーーー


『(装備品なのに、性能がなしと見た時はハズレだと思ったが、効果はレア以上の代物だ。これで奴らの全てのアイテムを全て貰ってやる)』


 剣士は後ろにいる、魔術師に合図を行った。


「いま援護します![麻痺パラライズ

「おらぁ!!」


 アリスに麻痺のスキルを当てた瞬間、暗殺者はすぐにアリスに攻撃をした。


ーーーーー


相手の防御力が圧倒的に高いため、ダメージ0です


ーーーーー


「やっと手を出してくれたな」

「はっ?」


アリスはニヤリと笑い、暗殺者の首を斬り飛ばした。


ーーーーー


貴方はプレイヤーを殺害しました。相手はレッドプレイヤーです。カルマ値が上がることはありません。


ーーーーー

ーーーーー


麻痺を無効化します


ーーーーー


「う、嘘だろ?一撃?」

「リン」

「うん!」


 リンはすぐに飛び込み、剣士の横にいた重剣士を両断する。自分よりレベルが低いプレイヤーが、重剣士を一撃で倒した事に驚きを隠せなかった。


「や、やへぇ!おい一斉にかかるぞ!」

「[毒の矢]」


ーーーーー


毒を無効化します


ーーーーー


「な、なんで状態異常にかかんねぇんだよ!!」

「なんででしょうね?[稲球]」


ボン!


「がぁ」


ーーーーー


貴方はプレイヤーを殺害しました。相手はレッドプレイヤーです。カルマ値が上がることはありません。


ーーーーー


「ひぃ!なんで暗殺者が貴方がこんな威力の魔法を出せるのよ!」

「ごめんねー、次はお前がやられてね!」

「きゃぁぁあ!!」


 リンは持っていた魔剣を、魔術師にぶん投げる。そして横にいた司祭に飛び掛かり、思いっきり顔面にグーパンチする。


「やっぱりパンチだと一撃では倒せないか!」


 パコンパコンとタコ殴りするリンを見て、「えげつねぇな」と言葉をこぼしてしまった。


「な、なんなんだよ!!どうして俺達を殺すんだ!!」

「どうしてって、そりゃ殺されそうだからだよ。んじゃ、俺達はやる事あるのでおさらばだ」

「クソ野郎!!」

「ばいばーい」


 俺は剣士の首を斬った。

 仲間割れをしている事に山賊のボスはチャンスだと思い、逃げようとするがアリスは稲球を使って追撃した。


「一応報酬は貰っていくよ」


ーーーーー


クエストクリア!!


ーーーーー


「なんだ、レベル上がると思ったのに。リン、何上がった?」

「1だけー」

「そんな簡単に上がらないか。やっぱり50レベ以上のボスモンスターが速いな」


 一応、モンスターよりプレイヤー倒した方が減る経験値は多いが、今は何十以上も離れているボスモンスターの方が効率いいのであった。





ーーーーーー


(アリスのメモ帳)

・グリーンプレイヤー

プレイヤーキルをした事がない。あるいは、レッドプレイヤーしかキルした事がない。

・レッドプレイヤー

グリーンプレイヤーをキルしたことがある

解除方法は、沢山の善良クエストをクリアするか、多額なゴールドを国に支払う。


ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

 モチベで執筆スピード変わるので、続きが読みたいと思って下さったら、是非☆☆☆とフォローしてくれると嬉しいです!

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