第23話




「やまもとぐみほんぶ!!!!!!!!!!!!(デカい屋敷だなぁ)」



 はじめての実戦から数日後。

 俺は術師登録試験を受けるべく『呪術総會』本部を訪れていた。



「うふふ、ウタってば元気いっぱいねぇ♡」


「ひろぽん!!!!!(まぁな)」



 すこぶる上機嫌なミズホに答える。


 この場所には良い思い出がないらしい彼女だが、「息子についていくために!」とハッスル。

 俺のパンツを股に詰め込み「元気百倍マママンマン!」と叫んでメイドに病院連れてかれてた。


 そんなわけで朝から時間食っちまったが、試験までに辿り着けたぜ。



「ぉ、おい見ろよ、あの赤ちゃんって……」

「例の動画の……!」

「あの歳で呪力も呪法も使えるって? 流石に嘘だろ」

「あの動画はCGだって。CG赤ちゃんだよ」

「いや、嘘ならなんでこの場に?」



 おんおん?


 同じく受験者らしき少年少女たちがこっち見てくるぜ。

 やっほー。



「キィイイイイイイイイーーーーーーーッ! ママのむしゅこを勝手に見ちゃダメぇぇッ!!! 卵子投げつけるわよッッッ!?」


「「「「「ひっっっ!?!?!?」」」」」



 ミズホの叫びにビクッと震える若者たち。

 そのまま急いで屋敷の中に消えてった。



「ふーっ、わたくしの愛に気圧けおされたようね。試験前に『理想の母親像』を見せつけちゃって、“あんなお嫁さんが欲しい”“あんなお嫁さんになりたい”とみんなやる気になっちゃったかも。失敗だわ」


「みじゅほ、しすてむしょうがい(おいおいミズホ)」



 メイドのクレハさんも心配してたが、試験会場で騒ぐのはご法度だぜ?


 ちなみに同伴者は一人と限られているからな。

 家に残ったクレハさんは最後まで「奥様が奇行をしたら叱って止めてくださいね!? 最悪殺してくださいね!?」と心配していた。

 だから叱るぜ。



「とりひきていし!(うるさくしちゃ駄目だぞ!)」


「ひぃいいいいいいいごめんなしゃい切腹しましゅーーーーー!?」


「とりひきさいかい(でも俺を想ってくれてありがとな?)」


「ぎゃーーーーーーーウタしゅきぃいいいいいいーーーーーーッッッ!」



 そうして叱りつつもフォローする大人な対応をしていた時だ。

 虚空から、『なにやっとんじゃおぬしらは……!』と引き攣った声が聞こえた。


 透明化した俺の式神、『白面狐ハクメンギツネ』ことハクのものだ。



『まったく、なんでおぬしらのような連中と暮らすことに……』



 悪態を吐く彼女。

 元は凶悪な妖魔なのだが、



「むきぃいいいいいいいーーーーッ!? なによアナタッ! 新入りペットの分際でわたくしとウタの会話に口を挟まないで!」


『誰がペットじゃ殺すぞ!?』


「アナタのベッドに潜り込むわよッ!?」


『ひぃやめてくれっ!?』



 このように、ミズホにすっかりビビらされていた。


 たとえ暴れても俺が抑えりゃなんとかなるしな。

 この調子なら上手くやっていけそうだ。



「わたみ!(仲良くしていこうな?)」


『ひっ!? 頼むからその謎の言葉やめろ!!!』



 こうして仲良く会話しつつ、俺たちは屋敷に入っていった。



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屋敷「こないで……!」



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