「びぎゅもたぁ!?(どうしてこうなった!?)」 呪力360で危険視される世界で鍛えすぎた俺、 ◤異例◢の呪力1万3584に到達。ラスボス扱いで草枯れる【るし、あ?(俺が、呪いの王?)】
第21話はじめての火あぶり!(あちちちちっ)
第21話はじめての火あぶり!(あちちちちっ)
そのうち一本が俺の身体にブチ当たった!
「あずきー!?(クソがーーーー!?)」
咄嗟に『反発強化』をしたが、衝撃を完全に弾き切れない。
俺のぐにぐに赤ちゃんボディは境内を転がった。
『むぅ? ずいぶんと的が小さかったな。おかげで一本しか当たらんかったわ』
襖の奥から近づいてくる女の声。
やがて妖魔は姿を現す。
『って、赤子じゃとぉ!? なんじゃ貴様は!?』
出てきたのは長い白髪を垂らした女だった。
そこだけ見れば人間だが、キツネの耳とデカい五本の尻尾が生えてやがる。
それに纏う呪力もまがまがしい。
「しらかみふぶき!(お前こそ誰だ名を名乗れ!)」
『ほ、本当になんじゃ貴様は。村人からの捧げもの……というには、纏う呪力は極めて高密度。それに
「こん!(そうだよ)」
俺が頷くと、キツネ女は呆気に取られた顔をした。
そして、少し遅れて大爆笑される。
なんやねん。
『あっはっはっはっは! ふむなるほど。呪力もあれば、言葉を解する知性もあるか。だがまさかこんな赤子の身で妾に挑んで来るとは!』
腹を抱えて笑う女。
だが、
『この最上級妖魔、『
一瞬で顔から消える笑み。
次の瞬間、俺は天高く蹴り上げられていた!
「みけねこ!?(いだーい!?)」
腹をおもっくそ蹴られたようだ。
四条イラガといい、赤ちゃん容赦なく蹴るのやめろ!
人の心とかないんか!?
「るしあぁ(いやコイツは人間じゃなかったな)」
『むぅ、本当に凄まじい『反発強化』よのぉ。並の術師なら破裂しておるというのに』
空に向かって飛ばされる俺に、白面狐とかいう妖魔もかっ飛んで追い付いてきた。
『妾の尾が九本まで回復していれば……というのは無い物ねだりか。今ある力で、ぬしを食らって渇きを癒そう』
女の尾がブクッと膨れる。
そして先端が鋭く尖り、再び巨大な五本の槍と化した。
『次は全て当ててやる。食らうがよい、赤子!』
高速で迫る五本槍。
ここは空中だ。避けることなんてできない。
「ぁ(えっ、これ、もしかして死ぬ?)」
迫る大槍がゆっくりに見えた。
脳が高速回転してるんだ。
俺は、この感覚を一度味わったことがある。
「ぁぁ(そうだ。前世で
まさに最悪だった。
どうにもできなくて、轢かれて
あの時の激痛はもう言葉に出来なかった。
『死ねぇ!』
あの痛みをもう一度味わえと?
絶望的な死の感覚を、お前は俺に食らわせると?
なるほど。
「ふせいはっかく(ぶっ殺してやる)」
瞬間、俺は迫る大槍を叩き落した。
『なにッ!?』
簡単だ。
自分の腕も砕け散るような超出力の『衝撃強化』を掛け、刺さる直前でぶっ叩いただけだ。
当然、反動で俺の腕が千切れ飛ぶが、
「ぎょうせいかいにゅう(『肉体再生』)」
一瞬で新たに腕が生える。
あぁお前のおかげだよ白面狐。
お前が食い散らかした何十人もの村人を癒したおかげで、治癒の経験を大幅に積めたからな。
『くっ、赤子のくせに自傷も覚悟か!?』
女の腰に尾が引き戻る。
そうして再び俺を刺す気だろうが、
「きょうせいそうさ(隙だ)」
槍の弱点は『戻す瞬間』に何もできなくなることだ。
その一瞬の隙を狙い、俺は呪法を発動させる。
「『いほうどうじん』だうんろーど。“しりゃびしみにょる”(『獣身呪法』疑似発動。モデル“白鯨”)」
先日の戦いで奪った呪法。
それを起動させ、俺は片腕から巨大鯨を生やした。
『はぁああーーー!?』
そのまま鯨で妖魔を殴打。
100トンを超える巨体を受け、彼女はすごい勢いで地面に叩きつけられた。
『がはぁッ!? ぉッ、おのれ貴様ぁああーーーーッ!』
しかしまだまだ女は死なない。
全身から血を噴きつつも、何らかの掌印を高速で結んだ。
そして、
『“業火・烈尽・
奴がこちらに手を突き出すと、極大の白い炎が光線となって噴き出した――!
咄嗟に鯨の腕で庇うも、みるみる内に灰となる。
『ハハハハハハッ! 我が炎は焼却概念の具現化よ! どんな質量もッ、呪力すらも焼き溶かすのじゃ!』
……なるほど。
確かに身体を庇う腕から、急速に呪力がなくなっていく。
これはとんでもない呪法だ。
『全てを焼く火に呑まれて死ねぇッ! 人間なんてみんな死ねェーーーッ!』
このまま行けばジリ貧だ。
盾となる鯨が完全になくなって死ぬか、それより先に呪力が尽きるか。
二つに一つだ。あぁならば、
「ろうじんとうさい――ぷりうすはっしん(前に向かえばいいだけだ)」
『衝撃強化』を足に集中。
そして俺は空を蹴り、炎に向かって突撃した。
『なにぃっ!?』
一瞬で焼ける鯨の盾。
次に赤ちゃんボディが焼けるも、全力の『肉体再生』で死に抗う。
『いッ、生きながら焼かれる苦痛を味わいながら、なぜ術を維持できる!? 貴様狂っているのか!?』
「みじゅほ(正気だよ)」
ああ、死ぬほど痛いが死ぬほどじゃない。
何が全てを焼く火だ。
本当に命が尽きる瞬間の苦痛に比べれば、この程度じゃ、
「かれは、ない(俺の心は、焼き尽くせない)」
やがて俺は炎を突き抜け、驚愕する白面狐の懐に接近。
そして、
「『ちょさくけん』しんがい。“のまねこもなー”(『破砕呪法』疑似発動。対象“腕部”)」
『ばっ、馬鹿なッ』
母・ミズホの呪法をコピー。
一瞬のみ、『衝撃強化』の倍率をさらに高めるという能力を腕に纏い、
「さいばんッ、けっちゃく(これで、終わりだ――!)」
『馬鹿なぁあああーーーーーーーッ!?』
最大強化した赤ちゃんパンチ。
それを振るい、白面狐をぶっ飛ばした。
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ここまでお読みいただきありがとうございました!!!!
@↓こちら、新作になります~!
『二周目モブは死にたくない ~お腹の中から鍛え続けたらバケモノだと勘違いされる話~』
https://kakuyomu.jp/works/16818093082740683707
原材料:びぎゅもたぁ
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