歪んだ共依存はお好きですか?
みそぎ ことのは
第1話
「一生キスされ続けるか、唾液飲まされ続ける生活か選べよ。」
酔っぱらった彼女は手が付けられない。喋りが少ない彼女からは何があったのか読み取るすべは僕にはない。僕はただ人形になって彼女に抱きつぶされるだけ。僕はただ排水口のになるだけでよかった。彼女が吐き出した感情、いや体液に汚され、時には自分の体液に真っ赤に汚されることもある。
「なぁ。あと数発殴らせろよ。」
もう、殴ることも隠さなくなってしまった。目を閉じてって、言ってくれてたのにな。キスするみたいに、あくまでもストレスを暴力で発散しようとする狂気は隠してくれていたのに。どんな性欲の発散よりも、どんな汚い排泄物よりも彼女に醜い狂気をぶつけられることが何よりも僕を穢す。
僕は生きているのがつらくなりました。彼女はいつ僕を殺すのだろう。こんなに支配して終わりなのだろうか。
僕が話さないのにはわけがある。彼女は僕の話せる語彙をしきりに制限しようとする。主に形容詞を禁止したいのだろう、発言に気に入らない形容詞があると僕は殴られる。汚いといったら殴られたし、綺麗といっても殴られた。もう、基準がわからなくなった僕は口を閉ざすことにした。だけど、僕の思考までは縛れない。頭の中ならどんな綺麗な言葉も、汚い言葉でも自由に使えるんだこんな快感は味わえないさ。黙って外を見つめて景色を言葉にするのが至上の幸福。
「お仕事お疲れ様。」
「なんのつもり?」
「ごめんなさい…長い間家を空けてたと思うから。」
「エサが足りなかったから文句言ってんの?」
「いや、本当に違います….ただ、心配だっただけです。何の仕事をしているかも教えてもらってないからさ。」
僕が話せたのはここまで、心配という言葉が気に入らなかったのだろうか僕の全身の筋肉がこわばった時にはもう遅かった。もう、考えること自体が罪なのだ。彼女の安否について考えたこと自体が間違いだったんだ。
「ありがとう。私のこと考えてくれてたんだね。」
「……」
「話さなくてもいいよ。」
彼女は泣きながら僕を抱きしめる。こんなに心臓に栄養を与えている女は数少ないだろう怒から哀への感情のジェットコースターに心臓の拍動がついてきているのかははなはだ疑問だが。暫く僕を離す気はないのだろう。
「抱かせろよ。」
彼女に抱かれる時はいつでも身近に包丁を置いておく。いつでもこの女を殺せるという安心感を与えてくれるんだ。
「私はやっぱり君が好きだな。首に押し当ててよ。」
いつでも殺せる。僕を縛り付けた呪縛がとかれるんだ。彼女を殺す僕の誓願がついに果たされる。この高揚感だ。いつもこれに騙される。
「君の獰猛な目をみると私も瞳孔が開いちゃう。ぁぁっ、目が離せなくなるの。食い意地まではっちゃって恥ずかしいわ。」
「やっぱり君も私がいないとダメなんだね。」
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知らない人がいるというだけで異常な緊張を感じるようになりました。
最近は美容室でさえ緊張してドタキャンするほどです。
生きていくのに疲れました。
歪んだ共依存はお好きですか? みそぎ ことのは @kujyojanezane
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