グレーのひと
「世は平等か?」
誰かが問いかける。
――そんなわけが無い。
平等なら、争いは起きない。
平等なら、虐められない。
僕がいじめられることなんて、なかったはずだ。
これは、君に捧ぐ物語。
人間は、くろいひと と しろいひと に分かれてる。
そう僕は思ってる。
ほら、あのクラスの中心でキラキラしてるのが しろいひと。
そして、クラスの隅っこでうずくまってる、あの子は くろいひと。
やっぱり、人間には
キラキラ輝ける人間とずっと最底辺の人間に分かれる。
僕はどっちかって?
もちろん、くろいひと だ。
クラスの最底辺。
その言葉は僕にピッタリ。
というか、僕以外に当てはまる人は居ないかもしれない。
そんな世界で、僕は死んでいる。
僕の世界は、一生真っ暗だと思ってた。
光なんて差さない、極夜のような世界。
ずっと続くって覚悟してた。
少なくとも、ここから出るまでは。
――それは、違ったんだ。
君が、気づかせてくれた。
僕は、頑張っていなかっただけ。
周りの才能を見て、すぐに諦めてしまっていただけ。
「全力」なんて言葉だけ。1回も出したことがなかった。
そんなことに、君は気づかせてくれたんだ。
僕は勝手に決めつけていた。
「才能がないから」「最底辺だから」
「くろいひと だから」………。
そんなふうに勝手に思っていた自分が馬鹿馬鹿しい。
まだ、全力を出していないのに。
諦めていた、自分が悔しい。
多分、今までの人生で出来たのにやらなかった事がたくさんあるんじゃないかな。
固定観念を持っていたせいで。
あぁ、悔しい。
やり直したい。
だから、僕は生まれ変わる。
「くろいひと」「しろいひと」だなんて分けない。
まだまだこの世にはその区別が沢山ある。
「しろいひと」の人生は輝いていて、
「くろいひと」の人生は暗いのだから。
でも、僕はもう くろいひと じゃない。
そんなふうに、決めつけたくない。
でも、しろいひと にもなれない。
だったら、僕はその中間の グレーのひと にでもなろうかな。
だって、もう僕は自由なんだ。
最底辺じゃないんだ。
だから、何にでもなれる。
もし、僕みたいに悩んでいる人がいたら、言葉をかけてあげたい。
僕が君に貰った言葉を。
あの時のように、優しく。
「あきらめちゃ駄目だ。最後の最後までやりきろう。」
この物語を、君に捧ぐ。
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