第47話ーニャル虐
あまりのことに純粋に興奮する樹と、興奮しすぎて汚い方面に突っ走った蒼。
キメ顔でキスをさせてくれと頼んだ蒼は退くニャル様にジリジリ詰め寄ると、最後はニャル様に飛び込んでダイビングキスを食らわした。
そのあまりの惨たらしい行為と、被害者であるニャル様の無惨な姿に絶句した他三人は先程までの興奮は覚め、その光景を唖然と白目で見ている。
(え、やだ……何これキモイ。え?あたしって、こんなのが好きなんだっけ?あれ?)
蒼に何年も好意を寄せている陽葵ですら、付き合ってすらいないのに蛙化しそうになった程だ。
その破壊力は別の意味で凄まじい。
「ふぅ……これでヨシ!」
肌を艶らせて光沢としている蒼とは対比に、ニャル様の現状は言うまでも無いだろう。
見るに耐えず、言うには恐ろしすぎて言葉をが出ない様なニャル様は……まるで、生涯を終えた蝉の様な姿であったのだ。
「「「ニャ……ニャル様あああああああ!!!」」」
……ピク。
「良い奴だったわ……」
……ピクピク。
「あたしもそう思う……」
……ピクピクピク。
「短い付き合いだったけど、僕……ニャル様のこと、絶対に忘れないからね!!」
こうして息を引き取ったニャル様は…………
「って……死んでないからね!?」
「「「てへぺろ」」」
「ん?死んだ死んでないってなんのことだ?」
ツッコミを入れながらガバッと立ち上がるニャル様。
ニャル様に対してそれぞれ……「てへぺろ」と舌を出す三人と、何故こうなっているのか悪意がない為困惑している蒼が反応を示した。
特に蒼に対してニャル様は思うところがあるが、当の本人に悪意が微塵も無いため尚更タチが悪い。
そんな蒼にニャル様は溜息を吐きつつ浴衣の袖でベトベトするところを拭くと、四人に本来するべき筈の話の続きをする。
「はぁ…………まったくもう。まぁ、別に良いけどさ。それじゃあ説明の続きをするよ?」
「「「「はい!!!」」」」
「えっとぉ……この地図の右横にある文字はそれぞれ場所を示しているんだけど、そこをタップすると任意の場所に転移……瞬間移動が出来るよ」
「「「「お────!!!」」」」
「ちなみに……この時計は持ち主から離れないし持ち主の意思によって動くから、他人に勝手に操作されるみたいなのは無いよ!!」
「「「「安心セキュリティ…………」」」」
「キス……もう一回よろしいか?」
「「「「やめろバカ」」」」
「あだっ!!……はっ!!俺は一体なんておぞましいことをしてしまったんだ…………」
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