第43話ー勝つか敗けるか
ニャル様の点数は♠️のジャックと♦️の二、そして♠️の七で合計十九点。
樹のワンペア目の点数は♦️の八と♥️のキングで、合計十八点。
樹のツーペア目の点数は♣️の八と♥️のクイーンで、合計十八点。
樹がダブルをしたスリーペア目の点数は♠️の八と♦️の三、そして♦️の七で合計十八点。
一見するとニャル様の最大点数が十九点、樹の最大点数が十八点で、蒼は十九点以上が必要なためニャル様が有利に見えるかもしれない……だがしかし、この盤面を簡単に名状するなら『(本当は二択な)ジャンケン』と例える他ないだろう。
もしニャル様が勝つ場合、蒼の合計点数は樹の合計点数である十八点となって引き分けとなり……樹の合計チップは四十一、蒼の合計チップは三、ニャル様の合計チップは四十六となって勝ち。
もし樹が勝つ場合、蒼がバストしてプレイヤー二人が勝ちとなり……ニャル様の合計チップは四十六、蒼の合計チップはマイナスの二十九、樹の合計チップは七十三となって勝ち。
もし蒼が勝つ場合、蒼の合計点数が十九以上で二十一以下となってニャル様と引き分けか、二人のプレイヤーに勝ちとなり……ニャル様と引き分けでは、ニャル様の合計チップは二十三、樹の合計チップは九、蒼の合計チップは五十八で……二人のプレイヤーに勝ちでは、ニャル様の合計チップは零、樹のチップは九、蒼の合計チップは八十一となって勝つ。
これだけなら三竦みになってジャンケンとも言えたのだろう……しかし、ディーラーである蒼が人間であり、チップ数が多かった人が勝つこのゲームにおいては、一つだけ到底では有り得ない可能性がある。
それは、ニャル様の勝利の可能性だ。
樹と引き分ける事を前提としたニャル様の勝利は、言い換えてしまえば蒼が自分の勝利を捨てたことを意味するのだが、果たしてそれは有り得るのだろうか?
──否である。
蒼ならば例えそうなったとしても勝ちに賭けるだろう。
ブラックジャックとは点数が二十一に近ければ近い程勝つという単純なものでありながら、様々な要素が付け加えられることで勝ち負けが大きく変わる……そんな、シンプルながらに大変奥深いゲームなのだ。
それを理解した蒼と樹は真剣な眼差しで見つめ合い、ニャル様は悔しそうに……それでいて楽しそうにしていた。
「これボクの負けかぁ……悔しいけど、ハラハラドキドキして結構楽しかったよ。それじゃあ二人とも、白黒はっきり付けようか!」
二人に喝を入れたニャル様がソファーにぐったりと座り込むと、蒼と樹の二人は大親友でありライバルでもある相手に負けじと闘志を燃やしていく。
「「『俺・僕』が勝つ!!」」
―――
♣️2❌ ♣️3 ♣️4 ♣️5 ❌ ♣️6
♣️7 ♣️8❌ ♣️9
♣️10❌ ♣️J ♣️Q ♣️K ♣️A❌
♦️2❌ ♦️3❌ ♦️4 ♦️5 ♦️6
♦️7❌ ♦️8 ❌ ♦️9 ❌
♦️10 ♦️J ♦️Q❌ ♦️K ♦️A❌
♥️2 ♥️3❌ ♥️4❌ ♥️5 ♥️6 ❌
♥️7❌ ♥️8 ♥️9
♥️10❌ ♥️J ♥️Q❌ ♥️K ❌ ♥️A❌
♠️2 ♠️3 ♠️4 ♠️5 ♠️6❌
♠️7❌ ♠️8❌ ♠️9 ❌
♠️10 ♠️J❌ ♠️Q ♠️K ♠️A❌
※すみません。ガタツキが出てしまいました……
【ブラックジャック】
※wiki等サイトからの引用、参照あり
〇ブラックジャックとは?
ブラックジャック:別名
〇基本ルール
プレイヤーはディーラーよりもカードの合計が21点に近ければ勝利で、
ただしプレイヤーの「カードの合計が21点」を超えると、その時点で負けて賭けたチップを全部失う。
〇カードの数え方
2……9までの数字はそのまま点数となり、10と絵札の(J:ジャック、Q:クイーン、K:キング)は10点で、A:エースは1点か11点の好きな方を選べる。
〇特別な役
最初に配られた2枚のカードがAと絵札……合計21点が完成していた場合を『ブラックジャック』といい、その時点でプレイヤーの勝ちで、配当は3 to 2の1.5倍。
但し、ディーラー側もブラックジャックだった場合は引き分けとなる。
〇簡単なゲームの流れ
①ゲームスタート。
②チップを賭ける。
③賭け終了。
④ディーラーがカードを2枚ずつ配る(ディーラーのは1枚目を表に、2枚目を裏向きに)。
⑤ディーラーがプレイヤーに対して順番に、カードを
何枚でもヒットできるが、21を超えると
要らなければ手を横に振って、
⑥ プレイヤー全員が選択を終えた後、最後にディーラーがカードをめくり、17点以上になるまでカードを引き続けて勝負となる。但し、ディーラーが21点以上になった場合はディーラーの負けとなり、バストせずに残っているプレイヤー全員の勝利。
⑦ ディーラーよりも21点に近いプレイヤーは勝ち、賭け金と同額の配当を得ることができる(つまりは2倍になって返ってくる)。逆にディーラーよりも21点に遠いプレイヤーは負けとなり、賭け金は没収されます。同点の場合は
【特殊ルール】
〇ダブリングダウン(ダブル)
▶︎ チップを
〇スプリッティングペアー(スプリット)
▶︎ 最初の二枚のカードが同数なら、オリジナルベットと同額の賭け金を追加することで、二手に分けて勝負することが出来まる。ただしAのスプリットのときは、追加カードは一枚のみ。スプリットをした後にもスプリットをすることができ、そのことをスプリットアフタースプリットと言う。
〇インシュアランス
▶︎ディーラーの
〇イーブンマネー
▶︎プレイヤーがブラックジャックで、ディーラーのアップカードがAだった場合、プレイヤーはディーラーの二枚目のカードを確認せずに1倍の配当を得る。ちなみに、互いがブラックジャックだった場合は配当がなく、相手がブラックジャックじゃなかった場合は配当が1.5倍になる。
〇サレンダー
▶︎降参すること。始めの2枚のカードが配られた時点で、賭け金の半額を放棄し、残りの半額だけを返してもらい勝負を降りることができます。
【カウンティング】
〇ランニングカウンティング(蒼がやってるやつ)
23456の低い数を➕1
789の中間を➕0
A10JQKの高い数を➖1
として出た数字を数え、累積させるカウント方法。
➖が多い程低い数が出やすくなっている為、十七になるまで引かなければならないディーラーが、21を超えないように小刻みに数字を引きしやすいので有利。
※蒼は忘れないように、重ねたチップの数でカウントを記録していた。
〇トゥルーカウンティング(今回は使わない)
カジノでよく使われるカウント方法。
基本カジノではランニングカウンティングの対策として、複数のデッキ(トランプカードのジョーカーを抜いた52枚のセットを1デッキという)を使う。
そのため、使われているカードのデッキ数をランニングカウントで割った本当のカウントをトゥルーカウントと言うのだ。
式)ランニングカウント➗デッキ数(残っているトランプカード➗52)=トゥルーカウント
※ただ、これらのカウントをしていることがバレると、カジノを出禁にされます。その位に強いです。そして、最近では機械でシャッフルするカジノもあるため、トゥルーカウントが出来ないところもあります。
○豆知識
スプリットにおいて一番有名なのが八と八のスプリット。
合計十六というのはナチュラルブラックジャック(絵札とA以外で合計二十一にすること)に出来る確率があまりに低く、その上、ディーラーが必ず引かなくてはならない十七未満である為、かなり負けやすいと言えます。
その状態を崩しつつ新たな勝ち星に繋げられるので、戦略的にスプリットはかなり大事です!!
○ベーシックストラテジー
本文中にもありますが、それを見れば負けにくくなりますよー!っていうものです。プレイヤー全員(蒼、樹、ニャル様)がこれの通りに賭けています。
H:ヒット、S:スタンド 、DD(orD):ダブルダウン
SR:サレンダー、SP(orP):スプリット
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