第37話ー女子組合流


 三人の今の手持ち点は、蒼が二十八点で最下位、樹が一点減らして二九点、ニャル様が三十三点で※チップリーダー(※ポーカー用語で、一緒にゲームしてる人の中で一番チップを持っている人のことを言う)だ。


「ちょっと運が良すぎかにゃー?」


「まぁブラックジャックは運だからな」


 勝ったことでドヤ顔を決めるニャル様に蒼が含みを混ぜた言葉を返すと、樹はプルプルと身体を身震いさせた。


「樹大丈夫か?」


「いっちゃん寒い?毛布掛けようか?」


「んーん、大丈夫。ちょっと悪寒を感じてね……」


「そっか」


 悪寒を感じたと言い張る樹に、蒼は心配をしつつも謎の共感の様なモノを得る。

 そんな蒼に対して返事をした樹は、ニャル様の方を向きながら話をすすめた。

 

「うん。次は僕がディーラーだね……ニャル様、トランプのデッキ頂戴」

 

「はい、いっちゃん」


「ありがとう、ニャル様。よし、じゃあ皆賭けてね」


 ニャル様は使ったカード八枚を横に弾くとトランプのデッキをそっと樹に手渡し、そのデッキを受け取った樹はニャル様に感謝を伝えると、チップの賭けを促した。

 

「んー、俺はまた二枚で」


「ボクは適当に五枚かな」


「はーい。そういえばさ、結局お願いごとどうしようね」


 二人からチップを賭けられた樹がそんなことを聞きながら二人に配ったカードは、蒼が♥️の七でニャル様が♠️の九だった。

 そのカードを見ながらチップをジャラジャラとシャッフルしている蒼は、その動作を続けつつ樹に答える。


「確かに……俺と樹の願いはさ、ニャル様が言った通り海外のゲーム大会に勝てば同時に叶えられなくは無いよな」


 蒼に♣️の十、ニャル様に♥️の二が配れた。


「ボクは何でも良いよ。地球滅ぼせ!みたいなイカれた願いとか、犯罪紛いのことじゃなきゃ何でも。ま、ボクが勝ったら蒼っちといっちゃんの、赤裸々な恋バナ聞かせてもらうけどね……あ、二人には内緒にしてあげる」


 ニャル様から爆弾発言が投下されたことで、順当に配り終えて自分の一枚目を表向きにしようとしていた樹と、ジャラジャラとチップシャッフルをしていた蒼の手が、まるで、時が止まったかと思える程に微動だにせず静止した。

 ポカーンと開けた口すら固まった銅像の様な二人に困惑したニャル様が、冷や汗を掻きながら「おーい?大丈夫かー?」と二人の目の前で手を振ると、数秒の沈黙の後にプルプルと唇を震わせた二人が言葉を発声させる。

 

「「…………は?」」


「いやいやいや!べ、別にー?!ひ、ひひひひ陽葵のことなんてー?すすすす好きじゃないしーーー???」


「そそそそ、そうだよ!!べべべべ別に?あ、ああああ綾華のこと、いい異性として、す、す、すす、好きとかそんなんじゃねー???」


「てぇてぇなぁおいっ!!蒼っちといっちゃん、嘘つくの下手すぎでしょ!!良い子かっ!?」


 絵に書いたような見本的なテンパリ方をした二人は、無意識的に見事自爆して、それぞれが好きな人を告白した。

 別に誘導尋問したでも引っ掛けたでも無かったニャル様は、二人の自爆ぶりにニヤニヤしては爆笑し二人を揶揄ったのだ。


「「……………………」」

 

 ニャル様に顔を真っ赤にさせた二人が、無言でジリジリと詰め寄う。


「……え?ちょっ!」


「「……………………」」


 二人は何も言わず、ただ近寄る。


「……な、なんで無言?ち、近過ぎじゃありません?!」


「「……………………」」


 二人は何も言わず、ただ近寄る。

 

「く、来るなあああああああ!!!」


「「……………………」」


 二人は何も言わずに近寄り……飛び込んだ。


「「おりゃあぁぁぁあああ!!!!」」


「い、いやあああああああ!!!!」


 男子二人が無性別の美少女に詰め寄って、あられも無い声を出させているところを、例の女子二人が目撃をする。


「「何やってんの……」」


「「「あ…………」」」


 つんぐほぐれつしていた三人の世界は、この時、凍りついたのであった。


―――

 

♣️2❌  ♣️3  ♣️4  ♣️5 ❌ ♣️6

♣️7 ♣️8  ♣️9

♣️10❌ ♣️J ♣️Q ♣️K  ♣️A❌ 

 

♦️2 ♦️3 ♦️4 ♦️5 ♦️6

♦️7 ♦️8  ♦️9

♦️10 ♦️J ♦️Q❌ ♦️K  ♦️A❌ 

 

♥️2  ♥️3 ♥️4 ♥️5 ♥️6

♥️7❌ ♥️8 ♥️9

♥️10❌  ♥️J ♥️Q ♥️K  ♥️A 


♠️2 ♠️3 ♠️4 ♠️5  ♠️6❌

♠️7 ♠️8 ♠️9 ❌

♠️10 ♠️J ♠️Q ♠️K  ♠️A❌  

 

※すみません。ガタツキが出てしまいました……

 

【ブラックジャック】

※wiki等サイトからの引用、参照あり


〇ブラックジャックとは?

ブラックジャック:別名21トゥエンティ ワンは、ディーラー(ゲームの進行役)との駆け引きを楽しむ対戦型ゲームであり、シンプルながらも奥が深いゲーム性が人気なカードゲーム。


〇基本ルール

プレイヤーはディーラーよりもカードの合計が21点に近ければ勝利で、賭け金チップ毎に勝利した分の配当を得ることができる。

ただしプレイヤーの「カードの合計が21点」を超えると、その時点で負けて賭けたチップを全部失う。


〇カードの数え方

2……9までの数字はそのまま点数となり、10と絵札の(J:ジャック、Q:クイーン、K:キング)は10点で、A:エースは1点か11点の好きな方を選べる。


〇特別な役

最初に配られた2枚のカードがAと絵札……合計21点が完成していた場合を『ブラックジャック』といい、その時点でプレイヤーの勝ちで、配当は3 to 2の1.5倍。

但し、ディーラー側もブラックジャックだった場合は引き分けとなる。


〇簡単なゲームの流れ

①ゲームスタート。

②チップを賭ける。

③賭け終了。

④ディーラーがカードを2枚ずつ配る(ディーラーのは1枚目を表に、2枚目を裏向きに)。

⑤ディーラーがプレイヤーに対して順番に、カードを追加ヒットするか聞く。

何枚でもヒットできるが、21を超えると失格バストする。

要らなければ手を横に振って、要らないことを示すスタンド

⑥ プレイヤー全員が選択を終えた後、最後にディーラーがカードをめくり、17点以上になるまでカードを引き続けて勝負となる。但し、ディーラーが21点以上になった場合はディーラーの負けとなり、バストせずに残っているプレイヤー全員の勝利。

⑦ ディーラーよりも21点に近いプレイヤーは勝ち、賭け金と同額の配当を得ることができる(つまりは2倍になって返ってくる)。逆にディーラーよりも21点に遠いプレイヤーは負けとなり、賭け金は没収されます。同点の場合は引き分けプッシュとなり、賭け金が返ってくる。


【特殊ルール】


〇ダブリングダウン(ダブル)

▶︎ チップを元々の賭け金オリジナルベットと同額まで上乗せ(最大に2倍に)して賭けることが出来る。ただしカードは1枚しか引けない。


〇スプリッティングペアー(スプリット)

▶︎ 最初の二枚のカードが同数なら、オリジナルベットと同額の賭け金を追加することで、二手に分けて勝負することが出来まる。ただしAのスプリットのときは、追加カードは一枚のみ。スプリットをした後にもスプリットをすることができ、そのことをスプリットアフタースプリットと言う。


〇インシュアランス

▶︎ディーラーの見せ札アップカードがAの時、ディーラーのブラックジャック(初手21)に対して、オリジナルべットの最大半分まで保険をかけることが出来る。ディーラーがブラックジャックだった場合は、オリジナルべットを失って保険金の2倍の配当を得る……つまり-1+0.5×2=0のプラスマイナス0になる。また、ディーラーがブラックジャック以外だった場合は保険金を失い、オリジナルべットで続行出来る。


〇イーブンマネー

▶︎プレイヤーがブラックジャックで、ディーラーのアップカードがAだった場合、プレイヤーはディーラーの二枚目のカードを確認せずに1倍の配当を得る。ちなみに、互いがブラックジャックだった場合は配当がなく、相手がブラックジャックじゃなかった場合は配当が1.5倍になる。

 

〇サレンダー

▶︎降参すること。始めの2枚のカードが配られた時点で、賭け金の半額を放棄し、残りの半額だけを返してもらい勝負を降りることができます。

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