第38話ーお布施


 凍りついていた時が動き出すと、バカ三人衆は言い訳をし始めた。


「べ、べべ別にぃ?つんぐほぐれつしてた訳では……」


「そそそ、そーいや裸の付き合いを経てボク達仲良くなったからね!!」


「そう!!ちょっとしたスキンシップだよ!うん!!」


「「「それなー!!はっはっはぁ…………」」」


 張り付いた笑みを浮かべて、どうにか二人を騙せないかと四苦八苦するバカ三人衆。

 しかしそんな三人の気持ちとは裏腹に、二人はずっと三人のことをジト目で見つめるばかり。

 冷や汗を掻きながら口と眉をピクピクさせる三人に、陽葵と綾華は溜め息をつく。


「「はぁ…………これだからコイツらは……」」


「「「これだからって何だよー!!」」」


 溜め息をついた二人にバカ三人衆が少しむくれた表情でツッコミを入れると、二人はヤレヤレと言った表情でまたも溜め息をついた。

 溜め息をついた綾華はトランプの方を親指で指すと、三人に興味を示す。


「ねえ、テーブルの上にあるトランプ……何をやってたのかしら?」


「ん?あぁ……ブラックジャックだよ」


「そうだね。ボクら三人で、キミたち二人を待ってる間の暇つぶしにやってたんだよ」


「もちろん賭けあり」


 流れが変わったことで生き生きし始めたバカ三人衆は先程までのテンションとはおもむろに、楽しげに二人に話した。

 そんな三人に「へぇ……」と相槌した陽葵がソファーに座ると、他の四人も釣られてソファーに座りだす。

 陽葵と綾華、蒼と樹が隣同士に……陽葵と蒼、綾華と樹が対面に……そしてニャル様はポツリと独り、四人が見える位置に座ったのだ。

 それはまるで……保護者一人同伴の、合コンの様な絵面であった。

 ニャル様は、ついさっきまで蒼と樹の想い人のことで一悶着あったため、この絵面に爆笑しかけ……口を手で抑えるも、声が漏れてしまう。


「合コンかよコレ……ぷっ!くすすすす」


「「「「おい?」」」」


「ヒンッ!?」

 

「「「「ぷっ……ははははは!!!」」」」


 四人が顔を赤くしてニャル様に詰め寄ると、ニャル様は間抜けな声を出して目を瞑る……そんな神とは思えないニャル様の姿に、四人は思わず吹き出してしまった。

 そんな四人の笑いが収まると、ニャル様はソファーから立ち上がって四人に問いかける。


「ねぇキミたち……五人全員揃った訳だけど、ご飯とブラックジャックの続きどっちする?」


「俺はブラックジャックしたいかな?ゲーマーとして、せめて一周はして決着つけたい」


「そうだよね!僕も決着はつけたい!……お腹は減ったけどね。綾華達は見てるだけだと思うけど、大丈夫?」


「そうね……私は良いわよ?」


「あたしも、面白そうだから良いよー……ただ」


 三人でのポーカーの再開を了承した二人は互いを見て頷くと、陽葵は蒼、綾華は樹に悪戯な……それでいて、男子二人が思わずドキっとしてしまう様な、そんな、可愛らしい笑みを浮かべた。


「「『蒼・樹』……『あたし・私』に勝利をプレゼントしてね!にひっ!」」


「「任せ『ろ・て』」」

 

 頬を赤くしながらニコリと悪戯な笑みを浮かべる陽葵と綾華の乙女チックな言葉に男二人が微笑んで答えると、テンションを高くしたニャル様が唐突に大声を上げる。


「てぇてぇですか!?甘酸っぱいなおい!!過剰摂取でボク死ぬて……あっ、お布施しないと……」


「「「「……………………」」」」


 ニャル様が興奮しながら何処からか出したお金を四人の元に投げると、有り難そうに手を二回叩いては律儀にお辞儀をした。

 いくら四人が何回もニャル様のこの弄りを受けていたとしても、意中の相手とカップリングされ……あまつさえ、尊いと言われてしまったら意識するのも当然と言うもの。

 そんな……顔でやかんの水を沸騰させれる程の熱を帯びた四人を尻目に、投げたお金を拾ったニャル様がブラックジャックをプレイしていた席に戻ったので、無言な四人も続いて自分の席に座った。

 もちろん……陽葵は蒼、綾華は樹の隣だ。

 全員が席に着いたのを確認にしてニヤニヤすると、先程までとは違うキリッとした表情でニャル様はゲームの再開を宣言する。


「さぁ……ゲームの続きと洒落こもうか」


―――


♣️2❌  ♣️3  ♣️4  ♣️5 ❌ ♣️6

♣️7 ♣️8  ♣️9

♣️10❌ ♣️J ♣️Q ♣️K  ♣️A❌ 

 

♦️2 ♦️3 ♦️4 ♦️5 ♦️6

♦️7 ♦️8  ♦️9

♦️10 ♦️J ♦️Q❌ ♦️K  ♦️A❌ 

 

♥️2  ♥️3 ♥️4 ♥️5 ♥️6

♥️7❌ ♥️8 ♥️9

♥️10❌  ♥️J ♥️Q ♥️K  ♥️A 


♠️2 ♠️3 ♠️4 ♠️5  ♠️6❌

♠️7 ♠️8 ♠️9 ❌

♠️10 ♠️J ♠️Q ♠️K  ♠️A❌  

 

※すみません。ガタツキが出てしまいました……

 

 

【ブラックジャック】

※wiki等サイトからの引用、参照あり


〇ブラックジャックとは?

ブラックジャック:別名21トゥエンティ ワンは、ディーラー(ゲームの進行役)との駆け引きを楽しむ対戦型ゲームであり、シンプルながらも奥が深いゲーム性が人気なカードゲーム。


〇基本ルール

プレイヤーはディーラーよりもカードの合計が21点に近ければ勝利で、賭け金チップ毎に勝利した分の配当を得ることができる。

ただしプレイヤーの「カードの合計が21点」を超えると、その時点で負けて賭けたチップを全部失う。


〇カードの数え方

2……9までの数字はそのまま点数となり、10と絵札の(J:ジャック、Q:クイーン、K:キング)は10点で、A:エースは1点か11点の好きな方を選べる。


〇特別な役

最初に配られた2枚のカードがAと絵札……合計21点が完成していた場合を『ブラックジャック』といい、その時点でプレイヤーの勝ちで、配当は3 to 2の1.5倍。

但し、ディーラー側もブラックジャックだった場合は引き分けとなる。


〇簡単なゲームの流れ

①ゲームスタート。

②チップを賭ける。

③賭け終了。

④ディーラーがカードを2枚ずつ配る(ディーラーのは1枚目を表に、2枚目を裏向きに)。

⑤ディーラーがプレイヤーに対して順番に、カードを追加ヒットするか聞く。

何枚でもヒットできるが、21を超えると失格バストする。

要らなければ手を横に振って、要らないことを示すスタンド

⑥ プレイヤー全員が選択を終えた後、最後にディーラーがカードをめくり、17点以上になるまでカードを引き続けて勝負となる。但し、ディーラーが21点以上になった場合はディーラーの負けとなり、バストせずに残っているプレイヤー全員の勝利。

⑦ ディーラーよりも21点に近いプレイヤーは勝ち、賭け金と同額の配当を得ることができる(つまりは2倍になって返ってくる)。逆にディーラーよりも21点に遠いプレイヤーは負けとなり、賭け金は没収されます。同点の場合は引き分けプッシュとなり、賭け金が返ってくる。


【特殊ルール】


〇ダブリングダウン(ダブル)

▶︎ チップを元々の賭け金オリジナルベットと同額まで上乗せ(最大に2倍に)して賭けることが出来る。ただしカードは1枚しか引けない。


〇スプリッティングペアー(スプリット)

▶︎ 最初の二枚のカードが同数なら、オリジナルベットと同額の賭け金を追加することで、二手に分けて勝負することが出来まる。ただしAのスプリットのときは、追加カードは一枚のみ。スプリットをした後にもスプリットをすることができ、そのことをスプリットアフタースプリットと言う。


〇インシュアランス

▶︎ディーラーの見せ札アップカードがAの時、ディーラーのブラックジャック(初手21)に対して、オリジナルべットの最大半分まで保険をかけることが出来る。ディーラーがブラックジャックだった場合は、オリジナルべットを失って保険金の2倍の配当を得る……つまり-1+0.5×2=0のプラスマイナス0になる。また、ディーラーがブラックジャック以外だった場合は保険金を失い、オリジナルべットで続行出来る。


〇イーブンマネー

▶︎プレイヤーがブラックジャックで、ディーラーのアップカードがAだった場合、プレイヤーはディーラーの二枚目のカードを確認せずに1倍の配当を得る。ちなみに、互いがブラックジャックだった場合は配当がなく、相手がブラックジャックじゃなかった場合は配当が1.5倍になる。

 

〇サレンダー

▶︎降参すること。始めの2枚のカードが配られた時点で、賭け金の半額を放棄し、残りの半額だけを返してもらい勝負を降りることができます。

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