第25話ー性別


「もう……強引にさっ!良くないよ!」


「はいはい。てかさ、脱衣室まで来たけど……結局、性別どっちなんだ?」


「……ボクに性別は無いよ」


「「マジか……」」


「性別がはっきりしてる神様って結構いるから、てつきりニャル様も性別あるんだと思ったよ……」


「俺はニャル様が自分のことをボクって言ってたから普通に男だと思ってたわ……」


 まさかの無性別に驚きを隠せない二人は分かりやすく動揺し、じっくりとニャル様の身体を観察する。


「「じーーーーー…………」」


「な、なんだよ……そんなにジロジロ見ちゃってさぁ」


「無性別ってどうなんだろーなーって……」


「それにニャル様すっごく可愛いからね……」


「可愛いのは知ってるけど……今言われると照れる……」


「まぁ……無性別なら大丈夫でしょ。一緒に入ろーぜ」


 蒼はニャル様に微笑むと服を脱ぎ始め、樹も釣られて服を脱ぐ。

 二人が脱いだ服を畳んで脱衣カゴの中に入れていると、後ろから全身を舐め回すような視線を感じた。


「蒼は結構逞しくて、樹は華奢……と」


「すんごい見てくるじゃん!?……先に入ってるからな?」


「ニャル様も、後でゆっくり来なね」


「わ、分かったよ……」


 ニャル様を背に脱衣室から浴室への扉を開けると、豊かな自然に囲まれた温泉が目の前に広がっていた。


「樹、良い景色だなぁ……」


「和。って感じだねぇ……」

 

 石で囲われた温泉から匂う硫黄の香りに、心地の良い音を奏でる鹿威しししおどしや、爽やかな風に吹かれ揺れる草木と水面。

 それらの和が二人の疲れた心を癒し感動させ、改めてニャル様の凄さを二人は痛感しながら流し場へ向かう。

   

「やっぱニャル様って凄いね……瞬間移動の機能付き時計も、この秘密基地も……」


「そうだな……色々合ったけどさ、なんやかんや優しいし、気のいい神様だよな」


「照れるなぁ……」

 

 樹は眼鏡を外して、二人が流し場で身体を洗いながらニャル様を褒めていると、二人の後ろに褒められてた本人が少し照れくさそうにして立っていた。

 浴室に入って来たニャル様はタオルで身体を隠しており、何故隠しているのか気になった樹が単刀直入に聞く。

 

「ニャル様、無性別なのに身体隠すの?」 


「ん?ホントだ。見られて恥ずかしいもんでもあんの?」


「君たちノンデリだね!?そんなもんないよ!……もう」


「そうか……無性別で神様でも、見られちゃ嫌なこともあるよね……ゴメンなさい」


「俺もノンデリだった……ゴメンね、ニャル様……」


「全然気にしてないから大丈夫だよ。それにしても君たち、結構素直で……可愛い所あるじゃないか。にひひ」

 

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