第14話ー【干支の謎】探索終了
「「ニヤニヤ」」
「二人とも、何ニヤニヤしてるんだよ…… 」
「何って、ねぇ?陽葵ばあさんや」
「そうだねぇ、蒼じいさんや」
ニヤニヤしながら悪ノリする二人。
綾華は二人に対して本気で怒ったのか、額の血管を浮かべながら、さっきよりも張り付いた笑顔で拳を握る。
「そのノリウザイわねぇ……」
「「ひんっ!」」
「それでぇ?二人は何ニヤニヤしてたのかしらねぇ?」
綾華の威圧に怯える二人は、ぷるぷると身体を震わせながら抱き合っていた。
そして綾華の威圧により、言うまいと封印してた本音が次々と漏れていく。
「ま、まさか、イチャイチャしながら抱っこしてたのを見てニヤニヤしてた訳ないじゃないですか!!」
「そ、そうよ、樹が抱っこした時に放心状態になって気まずそうにしてたのを見てニヤニヤしてた訳ないよ!!」
「「あ……」」
「えっ!?僕そんなことしてたの!?」
「ふーーーん、どうやら死にたいらしいわね。いいわ、望み通り殺してあげるから」
綾華は小さな拳を鳴らしながら二人に近寄ると、二人は抱き合ってたのを解除し、一歩後ろに下がりひれ伏した。
「「申し訳ございませぇえええん!!!」」
二人は揃って土下座をしたのだ。
土下座とは頭を土に擦り付け、お相手様より自分が下にいることを表し、精一杯の誠心でお相手様に感謝や謝罪などを伝えることだ。
「もう……私が酷いことする訳ないじゃない陽葵に……」
「綾華ぁ……とぅき」
「え?俺は?」
「死刑」
死刑という言葉を聴き自分の死を悟った蒼は、両手を絡め祈りを捧げ始めた。
「…………………………お父さん、あ母さん。先立つ愚息を許してください……ふっ、こんなことになるなら、もっと親孝行しとくんだったぜ…………」
「何時までそんなことやってるのかしら?」
「……え?だって俺、殺されるんじゃ?」
「馬鹿ね、そんなことする訳無いじゃない。それより、樹の所にあった赤い本を読みましょう」
「お、おう」
蒼は立ち上がり、皆の元に戻ると本に視線を向けた。
「なぁ樹……それ読んでくれ」
「うん、分かった」
陽葵が読みづらいとばかりに、樹に朗読を頼んだ。
「昔、時間を決める時に使ったシステムであり、12匹の動物の名前が由来である。12匹の動物は1月から鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪である。この順番は繁殖力の高い鼠が子孫繁栄を願われていたり、生活的に必要であった牛、虎のように勇ましくなれるように……等の意味があるがここでは割愛。ここでは12匹によってされたと思われる競走についての話をする。ある神様が月の名を決めるために、様々な動物を1月1日に呼んで競走させ、その中で取り分け早かった1位から12位の動物の名を使うことにした。結果は上の通りであるが、鼠は猫を騙し1月2日に来るように仕向けたり、その日の前から準備していた牛に隠れて1位になったりと、様々な事が起こったとされている」
樹の朗読を聴いた蒼は頷き、ボソッと言葉を零す。
「ふーん……やっぱりか」
―――
○今ある情報
・紙とペン一本
▶︎紙は謎解きの問題
▶︎4人分無いのは不自然
▶︎ペンはカレンダーに印を付ける用?
・カレンダー
▶︎謎解き用アイテム
▶︎南側にある棚の中にあった
▶︎大きさは手持ちサイズで小さめ
・銅像
▶︎謎解き用アイテム
▶︎順番を元に戻すと良さそう
(矢印の向き的に左から右▶︎▶︎▶︎に、っぽい)
▶︎恐らく奥の方にある銅像
「馬」「虎」「龍」「犬」「猫」「牛」「鳥」「兎」「蛇」「猿」「鼬」「鼠」「羊」「猪」
▶︎動物の種類に既視感がある
・神
▶︎ニャル様とは関係なさそう
▶︎動物の順位毎に恩恵を与える存在?
▶︎謎解きに必要な情報かは分からない
・猫と鼠
▶︎赤い本
▶︎ページ数は少なく、中身は絵本
▶︎いつもは宿敵な猫と鼠も手を取り合うことがあるらしい
▶︎何故『猫と鼠』がヒントになると蒼は思うのか?
【謎解き】
昔昔のこと、競走をした【14匹の動物】がいる。
その中の1匹は、【愚かな動物】。
その中の1匹は、【優しき動物】。
その中の1匹は、【狡き動物】。
勘違いした優しき動物は【神】の温情により報われた。
しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。
愚かな動物は狡き動物を許さない。
怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。
順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。
次の日【真っ直ぐな動物】が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。
次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。
本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。
次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。
優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。
それを見て遊び心の沸いた【ニャル様】が順番をバラバラにした。
順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。
特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。
月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。
日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。
優しき動物は悲しんだ。
皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。
愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。
もうこんな争いは起きてはいけない。
だから仲直りした、皆全員で。
この日は皆で手を取って楽しく笑った。
1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。
しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。
思い出した者は【カレンダー】に、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。
そして、【銅像の位置】が違う時は直してやって欲しい。
さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。
1つ忠告するのならば、まずは【月日の主】を探すが吉。
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