第10話ー【干支の謎】探索:蒼


 四方を四人それぞれで探索することになり、皆で適当に振り分けた結果銅像の方を担当することになった蒼は、銅像の数を数えていた。


「一、二、三、四、五………………十四、と」


 部屋の奥の方にある銅像の数は十四。

 そして、問題に書かれていた動物の数も十四。


「これで確定っぽいな……動物の種類も把握しとくか。うまとらりゅういぬねこうしとりうさぎへびさるいたちねずみひつじいのしし。なんか聞いた事あるような気がするんだよぁ……」


「馬」「虎」「龍」「犬」「猫」「牛」「鳥」「兎」「蛇」「猿」「鼬」「鼠」「羊」「猪」。この14匹の動物に既視感らしきものを感じたのだが、それが何かまでは出てこなかった。

 

「えぇ……マジでなんだっけ。絶対聞いた事あるんだよなこの動物の種類、というか集まり……」


 蒼は顎に手を当て、熟考した。

 ここら辺一帯を一通り見た感じ、めぼしい物はこの銅像だけ。

 ならば、この銅像に思考を集中するのは当然のことだ。

 頭を悩ませ続け、動物の銅像を舐め回すように観察していると、ふと、視線が下の方に向いた。


「ん?これ矢印か?」


 銅像のちょい手前の床に、テープらしきもので矢印が貼られていたのだ。

 そして、その矢印は右の方に向いてあった。


「多分だけど、左から右に動物の順位通りに並び替えれば良いのかな?……ふーむ、こんなところか」


 蒼は銅像と矢印以外のヒントになりそうな所が無いか慎重に観察し、無いと判断したため机に戻ることにした。


―――

 

○今ある情報


・紙とペン一本

▶︎紙は謎解きの問題

▶︎4人分無いのは不自然

▶︎ペンはカレンダーに印を付ける用?


・カレンダー

▶︎謎解き用アイテム

▶︎どこにあるか分からない


・銅像

▶︎謎解き用アイテム

▶︎順番を元に戻すと良さそう

(矢印の向き的に左から右▶︎▶︎▶︎に、っぽい)

▶︎恐らく奥の方にある銅像

「馬」「虎」「龍」「犬」「猫」「牛」「鳥」「兎」「蛇」「猿」「鼬」「鼠」「羊」「猪」

▶︎動物の種類に既視感がある


・神

▶︎ニャル様とは関係なさそう

▶︎動物の順位毎に恩恵を与える存在?

▶︎謎解きに必要な情報かは分からない


【謎解き】

昔昔のこと、競走をした【14匹の動物】がいる。

その中の1匹は、【愚かな動物】。

その中の1匹は、【優しき動物】。

その中の1匹は、【狡き動物】。

勘違いした優しき動物は【神】の温情により報われた。

しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。

愚かな動物は狡き動物を許さない。

怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。

順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。

次の日【真っ直ぐな動物】が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。

次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。

本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。

次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。

優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。

それを見て遊び心の沸いた【ニャル様】が順番をバラバラにした。

順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。

特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。

月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。

日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。

優しき動物は悲しんだ。

皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。

愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。

もうこんな争いは起きてはいけない。

だから仲直りした、皆全員で。

この日は皆で手を取って楽しく笑った。

1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。

しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。

思い出した者は【カレンダー】に、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。

そして、【銅像の位置】が違う時は直してやって欲しい。

さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。

1つ忠告するのならば、まずは【月日の主】を探すが吉。

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