閑話① 天涯孤独な少年とお嬢様
天涯孤独な少年side
僕、
ああ、別に木の股から生まれたとかじゃないよ?
ただ、物心つく前に僕の両親は死んじゃって、親戚もいなかった僕は
孤児院での生活は、まあ別にそこまで悪いものじゃなかったよ?
先生は優しい人だったし、兄弟姉妹はいい子ばかりだったからね。ただまあ、早めに自立しないとなとは思っていたから、小さい頃から新聞配達したりしてお金を貯めていたんだ。
高校時代なんてアルバイトばっかりで、部活をやってる暇がなかったなあ。あ、でも時々助っ人で試合には出たりしたよ? いやあホームラン打ったりオーバーヘッドキックするのは楽しかったなー。
本当は大学に行かずに働くつもりだったんだけど、孤児院の先生に相談したら『大学は出ておいた方がいい』と言われてね。まあ奨学金貰ったり、もっと頑張ってバイトしたりで何とかお金貯めて、受験にも受かったわけさ。
え、ちょっと僕が大学に現役合格したのが意外!? 酷くない!?
僕だってやる時はやるさ、クラスメイトの陽毬さんとか楠木さんに手伝ってもらって…え、その子たちの性別? 女の子だけど、痛ァ!? 脛蹴らないで!?
まあ兎も角、無事に平和な大学生活を送ってた僕なんだけど、まあ色々と思い立ってこうして『冒険者』を目指して試験を受けたわけさ。まあ、前世の記憶を取り戻すなんてイベントは想定外だけどねー…。
え? 『冒険者』になろうとした理由? まあそれは今大事なことじゃないし…いやホントだって。楽にお金稼げたらなーとか思ってないから!
トホホ…とにかく、これで僕の今の生い立ちはおしまい。まあ大して面白くもない平凡なお話さ。
そこにちょっと、前世の記憶が入り込んできたのはびっくりしたけどねー。
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お嬢様side
私、
家は遡ると華族に連なる由緒正しい家で、それなりに世渡り上手だった曽祖父が戦後も上手いこと財産を守ってくれたお陰で、今でも裕福な暮らしを送れています。
他に特別な事があるとすれば、世界中に『ダンジョン』が発生した当時、大学の助教だった父がその対策に駆り出され、そして深く関わっていたことでしょうか?
お父様、研究者としては凡庸ですけど、曾祖父様やお祖父様の人脈を引き継いでいるので物凄く顔が広いんですよね。なんで深山に引きこもってた剣術の達人とか、はるか昔に途絶えた筈の伝説の陰陽術師の後継者が知り合いにいたんでしょうね…。
まあともかく、実家はそれなりに有名かもしれませんが私はそこまでだいそれた事はしていません。せいぜい習い事で茶道や華道に薙刀術、それにピアノを少々嗜んでいた程度です。あの時までは。
あれは私が15歳の時でした。
親戚のおじ様から、新しく経営する事になった牧場で乗馬をしないかと誘われたのです。
そしてある夏の日、両親や兄、そして弟達と共に、この人生では初の乗馬を行うことになりました。
今でも思い出します。私がスーパーウルトラサイクロン花子号の背に跨って…え? 馬の名前をもう一回言ってくれ? まったく、生まれ変わって耳が悪く成りましたか? スーパーウルトラサイクロン花子号です。覚えましたね? …なんでそんな微妙そうな顔をしているんです? いい名前じゃないですか、私が名付けたんですよ?
まあいいでしょう、私がスーパーウルトラサイクロン花子号に跨ったその時、私の頭の中に
そこからはアナタも経験があるでしょう?
自分の中に
はぁ…まあ有り難い事に最低限のマナー等は前世とも共通していて助かりました。しかし、普通こういう前世の記憶を思い出す系の物語だと、前世の記憶に足を引っ張られることってあんまりないですよね? あ、やっぱりアナタもそう思いますよね。
え? その後どうしたか? うーん、強いて言うなら何もしなかったとなりますね。
いやだって、
ただまあ、精神年齢はあがったと両親や兄には言われましたね。ほとんど口約束だった婚約も正式に断りましたし…ってなんでそんな顔するんですか?
まったくもう…そうですよ。前世の記憶が原因です。少なくとも、前世のアナタはその…ええそうです、凄く格好良くて…良い夫でした……ってなんでアナタまで赤くなるんです!!
と、ともかく男の理想が上がってしまったので、両親には自分で結婚相手を探すと言って実家のある京都から東京の大学に進学したんです。
……ええそうです、『冒険者』なら、前世のアナタみたいな人を見つけられると思ったんです。それにもしかしたら、アナタが一人ぼっちで泣いてるかもとも思いましたし? ほら、案の定泣いてたんですからそのニヤニヤ笑いを今すぐやめなさい!!
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二人が再会した公園からほど近い喫茶店で、紅蓮と百合子はお互いの境遇を報告し合う。
最期は真っ赤になった百合子が紅蓮の首を締め上げてはいたが…。
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??????side
みーつっけた♪
〜後書きのようなもの〜
次回から第一章開始。
ストックが無いので不定期更新です…。
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