第150話
―――― 今回はリンド=バーグ視点の回です ――――
ミーシャの庇護保証人になった訳だが……相変わらず見ていてドキドキの連続だ。いや、面白いには面白いんだが。研磨ノートをつけようなんて言い出す辺り、最高じゃないか。研究ノートがあれば失敗も成功も次回に繋げられるし、他人と情報共有出来るのがまたいい。本職にするのか片手間にするのか分からないが、鉱石や魔物素材の研磨をしたら完成品が出来る訳で、蒐集品として溜め込むのでなければ売却する事になる。
鑑定書が付いた宝石や研磨済み魔物素材は珍しくない。金さえ払えば鑑定能力持ちに書いてもらえるからな。だが、作業ノートとなれば話は別だ。次に作業する職人にとってどれほど有り難いことか…。
どうせだったら、バサルトタートルの甲片の時や魔石滓のやらかしの時もノートに書いていてくれれば良かったのに…。
【
それで…だ、何故そこから『
拭き草の茎を砂糖漬けにする話には興味が湧いた。俺が食べたいとかではなくて商売のタネ的な方でだ。【鉱夫飴】は基本ドワーフ用に売って一部を外部売りに回し、拭き草の方はメインを外部売りにすればいいじゃないか。どうしても用足し草のイメージが有るからドワーフ側の固定概念を払拭するには時間が掛かる。でも、エルフやヒト族相手になら売れるハズだ。水煮の茎は瓶詰めにしておけば保存食になるみたいだから、それもヒト族相手の商売になりそうだ。近い将来、紙芭蕉栽培に続き拭き草栽培も始まるのかもしれない。
後は…商隊や馬車移動の旅や、冒険者が現地で食材採取に使えるのがいいな。荷物が嵩張らないのは大事なことだ。今度アリサに試してもらおう。
さて、俺も湯に浸かってくるか…
幸い、風呂を利用する男性客は三人のみだった。大騒ぎさえしなければ他の利用客や管理人にも聞かれないだろう。
「遅かったのう」
「このままだとパイク=ラックが茹で上がる」
「スマン。ちょっと考え事をしていたら遅くなった」
「考え事とはミーシャの事かの?」
「ああ。あの辺境警備地を出てからも発明発案の嵐だったなぁ…と思い返していたら予想以上に時間が経っていた」
「俺は後二日、気が重いよ」
「拭き草にはやられたのぅ」
「それね…。絶対商売になるやつだから、追加報告必須。しかも、なる早で…ときた。砂糖案件もヤバイ」
俺以外も同じ様な感想だった。心持ちパイク=ラックが楽しそうに見えるのは、植物案件だからなのか、ミーシャのやらかしだからなのか…。
「やはり、エルフやヒト族相手の商売になりそうなのか?」
「エルフは用足し後には『
「拭き草の茎の穴から向こうを見てるだけじゃないか」
「向こうの見える茎と言うのが珍しいんじゃ」
「息も吸えるな」
「それ、そのネタ頂き!! “ 息も出来る ” も付け加えよう。 “ 先が見通せて、商売が
「それとだな、【
「無い、有り得ない。魔物が渡して来る素材は、レア度なら【人魚の涙】が一番高い。次が【龍/竜の逆鱗】と【不死鳥の羽】。それから【
スラスラと羅列される素材名は聞いたことはあるが、殆ど目にしたことはない。ホーク=エーツが知らないのなら文献記録にもあまり載ってないのだろう。
「ワギュとラパンの二頭じゃが、ミーシャの従魔登録を掛けたほうがよさそうじゃな」
「後々面倒くさくなるとアレだからな」
「【
さて、
――――――
(誤字修正)
(誤) 不要術師
(正) 付与術師
不要術師って、どんな術師だよ……(苦笑)
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