第144話
さらば『ビレッジアップ』、又くる日まで……なーんて感傷に浸るわけでもなく出発時間になったので馬車が動き出した。最初の御者ゴーレムのサポート係はリンド=バーグさんだ。これから順に回していくとのこと。馬車には四人しかいないので気兼ね無く会話もできるしエールも冷やせる。まぁ、飲酒は夜まで禁止だけれども。
「結局、【
それ、俺も知りたいです。
「結果としては追熟は可能。効果的なのは保温の魔道具を使用する方法かな。ある程度付きっきりで加温出来るならスキル使用でも構わないみたいだけどね。エールを作る時の保温器具を改良すれば追熟用の魔道具が出来るだろうとの判断がされた」
「で、【
リンド=バーグさんが御者台から声を掛けてくる。
「基本は半々と言うことになった。後はエールの調子をみながら店の主人の匙加減だよ。【
「過熱したジュースをか?」
「保存を考えての事らしい。【
ホーク=エーツさん、マジでお仕事してたんですね。
「後、【
しかしドワーフ、酒絡みだとマジで仕事が早い(笑)
「他の案件はどうなりました?」
「それらは登録だけ通した。説明やら作成方法やら何やらは『スワロー』で大会議をするって言ってた。………、その後は大説明会だねー。面倒くさいねー。やりたくないねー。大小鍛冶師は頑張ってねー。農業ドワーフも作付け頑張ってねー ………ブツブツブツブツ……」
ホーク=エーツさんの声のトーンが途中から急に棒読みに変わった。
「それと、ミーシャは『スワロー』に着いたら直ぐに商業ギルドに行って仮登録を済ませる。その足で職校に行って入校手続き。そうしたら所属をハッキリさせた身分証明書が出る。それが終わらないと今回支払われるの報奨金の入金が出来ないからね。ちょっとやそっとの額じゃないみたいだよ」
「良かったのう。多分、学費が全額支払い済になっておるんじゃないかのう?」
「一般入校で全額支払い済は聞いたことがないな」
「下手に特待生にされるよりもずっと気楽じゃな」
何だか良く分からないけど多分ラッキーってことで。
「学費って高いんですか?」
「そこまで高くはないけれど、在校中に得意な部門で稼いで支払いに回すのが一般的だな。その気になれば貯蓄も出来るぞ」
「後は寮に住むか近くに部屋を借りるかだね。寮は部屋代安いけど門限がある。食事が出るしシャワーもある。部屋を借りると気楽だけど食事は自腹。その代わり職校から公衆浴場で使える学割入湯札が貰える」
「寮は精錬実習とか陶芸実習や炭焼き実習なんかで戻れない時以外に門限破りが続くと追い出されるぞ」
「儂の時は、門限破りで追い出された生徒が通いの生徒の部屋に転がり込んでそのまま結婚したり…というのも居たもんじゃ」
「俺は実家から通いだったから、寮生も部屋を借りて自炊している生徒も羨ましかったんだが…」
ちなみに職業訓練校は『ネオ=ラグーン領』内では『スワロー』と領都『ネオ=ラグーン』にしか無い。
「ホーク=エーツさんって職校には?」
「俺は学園には通ったけど職校には行ってないよ。エーツ氏族は採掘は得意だけど職人が少ない家系だからね」
「確か、採掘の他は商売、警備、統括が得意だった様な…」
「統括というか統治というか、纏め役じゃな」
「確か今の全ギルドの統括役がカークェイ=エーツの玄孫だったか」
「マッキー=エーツ女史。エーツ氏族だけど俺の家系とは縁遠いよ」
ホーク=エーツさんは関係ないから聞かないでねと言った感じで手をヒラヒラと振る。
そんな話をしていたけど……馬車ってけっこう酔う。悪路ではないけど未舗装の街道が原因っぽい。ついでにダンパーが無いというか振動がけっこうモロにくるので………。空中浮遊をスキルでも魔法でもいいから覚えたいと、心底マジで思った。
「ミーシャ、キツかったら言ってね」
「ごめんなさい、……キツいです」
「安心せい、実は儂もキツいんじゃ」
と言うことで早目に休憩を取ることになった。ラパンがめっちゃ擦り寄ってきて甘噛みするんだけど、ゴメンね、今タワシをかけてあげる余裕は無いよ………。
―――――――
(誤字修正)
(誤) 実は鷲も
(正) 実は儂も
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