第135話
ホーク=エーツさんは商業ギルド支部長と酒精ギルド支部長の
「まぁ、あそこなら状態回復薬も様々な種類が有るから大丈夫だろう」
「儂らではどうすることも出来ぬしのぅ…」
「お二人はこの後用事があるんですか?」
「まぁ、有ると言えば有るな」
「儂は雑貨屋に行こうと思っておる。芭蕉紙が欲しいんじゃよ」
「パイク=ラックさん、ボクも芭蕉紙が欲しいんです。鉱石研磨のデータを残そうと思って…」
「それはいいな!! データがあれば売買するにしてもアイテム化するにしても付加価値がつく。宝石を使う職人側からしたてみたら大賛成だ」
「出来れば絵の具なんかの彩色道具も欲しいんですけどね」
「それは『スワロー』の方が品が揃っている。向こうに着いてから買った方がいいな」
それから三人で雑貨屋に行き、芭蕉紙とペンと鉛筆を購入。消しゴムはまだ存在していなかった。画板もあれば便利とお勧めされたので購入する事にした。まぁ俺はお金を持ってないからパイク=ラックさんに支払いを任せてしまった訳だけど。そこは出世払いって事でお願いします。パイク=ラックさんは
「次は俺の用事に付き合ってもらうぞ」
そう言うリンド=バーグさんに連れてこられたのは『サモンベイビー』という鮭専門店だった。
「店主、『赤の愛し子』は有るかな?」
「大丈夫だ、問題ない」
「一番いいやつを二つ頼む」
そういう遣り取りの後に店主さんが店の奥から大事そうに持ってきたのは二粒の特大イクラ。イクラなんだけどサイズがデカい。ラムネ瓶の中に入っている玉くらいデカい。
「いい品質だ」
「あんた、運が良いな。昨日入荷したての最上級品だ。コレへのプレゼントかい?」
店主さんが右手の小指を立てて聞いてくる。
「まぁな。カミさんと娘にだな」
「羨ましいねぇ。ほれっ。二つで金貨五枚だ。他にも何か買ってくれたらマケルぜ」
デカイクラ、高っっ!!
「そうだな、【プロテオG】があれば買おうじゃないか」
「まいどあり」
うわっ……【プロテオG】ってとてもお高かったんですね…。こっそり『対物簡易鑑定』したら、
【プロテオG】 別名:プロテお爺。老ドワーフや高齢エルフなどの関節を若返らせてくれる秘薬。サモンの鼻先に含まれている成分を錬金抽出して作られる。
これ、デカイクラより高いよ!! 超高級な膝腰の軟骨成分を補う効果があると言われています(当社比)な健康食品もビックリするお値段だった……。
夕飯はお昼にサモンフライを買ったお店に行くことにして、一旦宿に荷物を置きに行くことに。
「リンド=バーグさん、パイク=ラックさん、相談があるんです。これなんですが…」
そう言ってさっきまで書いていた鉱石スケッチを見てもらうことにした。アドバイスを貰うのだ。
「おっ、さっき話していた鉱石スケッチか」
「はい。今ここまで研磨しました」
「入手場所もいれてあるのか。出来れば日付もあれば…」
「入手日、研磨開始日、研磨完了日もあればよいのう。まぁ年と月程度で構わぬがの」
「後、サイズだな。共通単位が便利だ。建築や服飾なんかはドワーフ単位が主流だが、多種族間で流通する可能性があるものは共通単位表示が間違わなくて済む」
共通単位は前世のメートル法と変わらなかった。発音はミートルとかミーターとか微妙に訛る感じだけど。普通にメートルと言えば勝手に『
「危険なのはドワーフ単位とエルフ単位でのぅ、単位の表示は同じスーンなのに長さが違うんじゃよ」
「あれは初見殺しだ。ドワーフ単位の一スーンが共通単位の三サンチミートルなのに、エルフ単位の一スーンは共通単位の四サンチミートルだからな」
あっ、それって、前世の日本の
「まぁ、ドワーフとエルフは身長が違うから仕方ないんだが…」
過去に、エルフが六シャーク(十スーン=一シャーク。エルフ単位の六シャークは標準単位の二百四十サンチミートル)の高さの小屋をドワーフに頼んだら、ドワーフ単位の六シャーク(標準単位の百八十サンチミートル)の小屋が出来上がっていて、エルフが頭をぶつける事件があったという。
危険な単位は、リーン、スーン、シャーク、ジョーだった。前世でいったら厘、寸、尺、丈だな。これは他にも有りそうだぞ……。
――――――――
(誤字修正)
(誤) 売買するにしも
(正) 売買するにしても
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