第134話
「何かあったんですか?」
「まぁ…な。【
「どちらが先って何の事ですか?」
「【
あーっ!! カクテルのベースの事か!! トマジューにビールを注ぐか、ビールにトマジューを加えるかって事だ。普通に考えるとトマジューにビールを注ぐが正解だ。どう注いでステアするかは確かに大事だ。
「それは皆さんの前で説明した方が良さそうですね」
「少し前から商業ギルドは【
「正に “ 血塗れ ” 状態なんですね……」
後にこれが『ドワーフ “ 血塗れ ” 事件』と呼ばれることになろうとは………
― ― ― ― ― ― ― ―
「連れてきた」
「待っておったぞ」
ギルド支部長の執務室に通される。中に入るとお酒臭い。これはどうやら報告案件を確認とか言いながら試飲してたに違いない。
「初めまして。ミーシャ=ニイトラックバーグです」
「ミーシャ、挨拶はいいから説明してやってくれ」
ホーク=エーツさんがぞんざいだ。仕事中なのに飲んじゃったんだな。
「ボクとしては【
「それだよそれ!! 今それで一悶着なんだよ」
スーツを着こなす興奮気味のドワーフ、この
「商業ギルド支部長、少し落ち着け」
「ふぅ、すまんな。酒精ギルド支部長」
二大支部長? どっちが偉いの?
「酒精ギルド支部長さんに質問があります。ボク達が口にするエールって一定ではないですよね?」
「一定とは?」
「エールの濃さとか風味とかです。お酒の強さとか酸味の違いとか泡の強さとか…」
「醸造所毎でそれなりに安定する様には造っているだろうが、それでも常に同じにはならんだろうし、まして小規模の生産者なら毎回違って当然だろう」
「なので、加える【
「当然だな」
「それなら基本の割り比率を決めて、エールの濃淡で比率調整をかけると」
「普及させるならそれだな。後は提供する店ごとに味わいの違いを楽しませる…と」
「そして、その比率が問題だ」
「試すしかあるまい」
多分基本に比率は五分五分なんだろうけど、そこは前世とは違うだろうしドワーフ的な好みもあるだろうからなぁ…。偉い
「それで儂はいつまでエールを冷やせばよいのじゃ?」
そっちもあったかー。
「いつも何も、ずっと居てくれて構わんぞ。と言うか居てくれ」
「冷やしエールは魔道具さえ開発させれば…。それまではパイク=ラックの秘匿魔法が頼りだ」
「儂は嫌じゃよ」
「そこをなんとか!!」
パイク=ラックさんを助けなきゃ。他のお酒の話はしたんだろうか?部屋に漂う酒臭さから判断するとほぼエールしか飲んでなさそうだ。
「あの、ホーク=エーツさん、【サモントーヴァ】の皮を炙って『
「んっ!?」
「聞いてないぞ」
「あっ、と言うことは『渓流鰮』のヒレ酒とか骨酒の話もまだですね」
「ホーク=エーツ、頼んだぞ」
おっ、リンド=バーグさんが丸投げしたぞ。リンド=バーグさんはどちらかと言えば【バーサーカッター】を始めとした鍛冶師関連の説明と【鉱夫飴】関連業務の報告だろうし。パイク=ラックさんも【鉱夫飴】関連業務の説明が中心なハズだ。確かにまぁエールを冷やす
「えーと、まだ報告してない酒の飲み方は、【サモントーヴァ】の皮を炙って『
あっ…、ジンジャーエール情報が出てしまった…(汗)
「どれも実に興味深い」
「試飲が必要だな。もう一つエールの飲み方があるのか」
「待て待て待て待て。【
本当に申請および登録項目が多すぎて、ここ『ビレッジアップ』では書類提出だけして『スワロー』で詳細説明のハズだったそうなのだが…。捕まってしまったのは酒に関する報告のせいなんだろうなぁ…。
( 「発端は追熟【
リンド=バーグさんがそうコッソリ教えてくれたよ。
―――――
(誤字修正)
(誤) 渓流鰯
(正) 渓流鰮
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