第132話
馬車組合『ビレッジアップ』支部を後にする。今から俺はフリーです。皆は登録とか説明の関係で商業組合やら冒険者ギルドの出張所こと『互助会』やらに連続で出向くとのこと。今度こそ俺の個人情報を保護してください。
そう言えばトマトの追熟結果はどうだったんだろう? ホーク=エーツさんが慌ててなかったから多分大騒ぎするレベルではなかったんだろう。
そうそう、皆と別れる前にパイク=ラックさんとリンド=バーグさんからそれぞれ銀貨五枚ずつ貰っちゃいました。庇護養親からのお小遣いってことみたい。「ミーシャ、買い食いしてもいいんだぞ」って、俺ってどんだけ食い意地張ってると思われてるの!?
折角なので【サモンフライと揚げ芋】と書かれた物を買ってみた。所謂サーモンフライとフライドポテト。鮭を使ったフィッシュアンドチップスって感じ? お店のテラス席でエール片手に楽しみたいところだが、流石にエールは我慢だろ。ドワーフと言えども昼酒は背徳の香りだし。ほんのりと酸味の効いたマスタードとハーブを練り込んだバターがが添えられていた。シンプルだけど熱々で美味しかったよ。
『サモン
気になった鉱石があったので銀貨二枚を支払う。大きさはMサイズのニワトリの卵の半分くらいかな。鉱石というか、多分これは化石なんじゃないかと思う。『対物簡易鑑定』は掛けてないけど端っこにチラッと見えるのは、多分サンゴの化石の一部だ。磨き方は化石周りの岩石次第。脆いものもあればしっかりと硬い岩石に置き換わっているものもある。サンゴ自体は元々が炭酸カルシウムだったよな。サンゴの化石はチラッと見える箇所だけなのか全体に隠れているのかは研磨しないと分からないな。
宿の女将に戻った事を告げると部屋に籠もる。出発までの自由時間は飯と風呂とトイレ以外、三人のうちの誰かに呼ばれなければ研磨三昧してやる。何から磨くかって、それはやっぱり今買ってきた推定サンゴの化石かなー? の石からでしょ。『関所の集落(仮)』に居た時に集めることの出来た砥石を使って研いでいこう。そこまで残ってないから無理は出来ないか。どうせ『スワロー』に着いたら砥石を買うなり採掘に行くなり出来るだろうから使い切ってもいいかな?
うーん、スキルを使わず研摩を楽しむか、徹底したスキル使いで研磨してみるか…。これは意外と悩むぞ。前世にはない楽しみ方というか悩みというか。スキルで鉱石をチェックしてからスキルオフで研磨もいいな…。実に悩ましいぞ。
まぁ、前に磨いた異世界素材の【バサルトタートル】の甲片の時みたいに正体は分かっても初見殺しされたこともあるから、スキルでチェックだけして研磨してみるかな…。もしかしたら異世界のサンゴの化石は前世と勝手が違うかもしれない。
そうだ、異世界の宝石って単にアクセサリーとして使われるだけなのか、魔法やスキルの触媒や増幅装置の一部として使われるのかAIさんに聞いてなかったよ。まぁ職校に行ったら教わればいいか。リンド=バーグさんが装備に組み込むって言ってたから魔法発動の触媒になるのかもしれない。魔石は確実にそっち側だろうけど。
よしっ、ちゃんと『対物鑑定鑑定』をかけてから磨こう。だって銀貨二枚支払ったし。リンド=バーグさんが拾った砂利はそのまま磨くとするか。
先ずは手持ちの石を確認しよう。
サンゴの化石?
白っぽい石 ✕ 二個
赤茶色の石
黒い石 ✕ 三個
緑がかった石
灰色の石 ✕ 二個
リンド=バーグさんが拾った石は多分、玉砂利によくある系の石っぽい。せいぜい赤茶色の石が
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