第109話
風向きを調べ『関所の集落(仮)』の風下側の端っこでラー油を作る事にした。土魔法『土器』で七輪的な道具を作り、そこに火の付いた練炭を収めて油の入った小鍋を温める。油がフツフツしてきたら火から下ろし、刻み赤【細辛茄子】を投入。油が冷めるまで放置したら完成だ。食べラーは後からラー油に具材を混ぜればいいんだよね?
異世界ではラー油とは呼ばないだろうから、呼び名を考えねば。ぶっちゃけ【細辛茄子】を入れた油だから【細辛油】でいいんじゃない? それこそ、発音は「ほそからーゆ」で。将来的に略されてラー油呼びされる未来が見えるな。
食べラーに混ぜ込む用の香味野菜、主にネギとニンニクを刻み『汎用魔法』の『除湿』で少し乾かしてから油で揚げる。この油、スライスした大麦パンに塗って食べても美味いんじゃ? という訳で残しておこう。それよりタマネギが欲しい。食べラーに入れるフライドオニオンというより、タマネギが無ければカレーが作れない。ホワイトソースを使う料理もか? ここ『関所の集落(仮)』に無いだけだと祈っておこう。気を取り直して【リモー】の皮を少しだけ削ぐ。使うのは上の黄色いところだけで。そしてやっぱり『除湿』。こちらはカラカラになるまで念入りにだ。乾燥したら乳鉢で粉末にする。ナッツ類は…クルミか松の実があれば嬉しい。別に【
全部を混ぜ込んでみて具材が少ない感じがしたら猪肉の挽き肉を炒めたソボロを足すか、【サモントーヴァ】の身を細かく裂いて混ぜるかだな。食べる直前に刻みニラを加えてもいいかもしれない。
そしてやっぱり目が痛い。『汎用魔法』の『浄化』をかけておこう……うん、効いてない。状態異常回復なのか解毒なのか、それとも単なる治癒魔法が効くのか謎だな。これは対魔物用でカプサイシン・アタックが出来る感じだ。流石、熊避けスプレーの素。
とか何とか言いながら下を見たら見慣れない小石が。黒っぽい中に何となく薄ピンクを覗かせている様な、いない様な。ピンク系の石って何があったっけ…、定番のローズクォーツか翡翠の赤い方にピンクオパール。ピンクトルマリンにレッドスピネルやルビーは流石にこんな場所に落ちてないと思う。大理石とかにもピンク色は有ったっけ。そうだ、ロードナイトも。マンガン繋がりでロードクロサイトもあった。
鉱石かと思わせて岩塩ってオチもありそうだけど。
『対物簡易鑑定』してみると岩塩ではなかった。『劣化した鉱石』ってアバウト過ぎるって。様々な鉱石を鑑定して知識と経験を稼げという事か…。前に【渓流鰮】の川原で拾った鉱石は鑑定できていたから、前世でも研磨した事のない鉱石とか?
これは『関所の集落(仮)』から移動する前に研磨してみねば。その前にラー油と食べラーに入れる具を炊事場に置いてこなきゃいけないね。
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