第105話
ヤバい、醤油ゲットだぜ。ヤバイよヤバイよ!! って一番ヤバいのは俺の頭の中か…。
「マリイン=リッジさん、この【粗相豆】ってまだ野外に生えてます?」
「まだ有ったよ。ミーシャ、それもっと欲しいの?」
「はいっ!! 絶滅しない程度で欲しいです!!」
醤油は沢山欲しいけど、この【粗相豆】に絶滅されても困る。大豆を探して醤油作りをする手間と時間を考えたら、この醤油入れから回収で十分です。
「いいよ、明日採ってきてあげる」
「ありがとうございます」
「でも、ミーシャはどうしてこれが調味料だって分かったの?『対物簡易鑑定』でも『詳細鑑定』でも情報出ないよ」
ヤバい!! それは前世の知識があるから、『対物簡易鑑定』さんに追加情報が乗ってるし、元日本人なら鑑定結果に醤油って出たら躊躇無く味見出来るだけだったわ。
「それは……ボクって『対物簡易鑑定』の他に『
くっ、苦しい…(汗) 苦しい言い訳だけど誤魔化せてるか?
「そうなんだ。面白いなぁ」
誤魔化せた!? いけた!?
「残りの収穫物も見せて下さい」
醤油で盛り上がりすぎたよ。残りも鑑定しなきゃ。
【水芥子】:前世のクレソン。サラダでも、茹でてお浸しでも。
おっ、クレソン。ピリッとした風味が肉に合うかな? 好き好きがある野菜だ。きっとパイク=ラックさんは駄目な系だな。ジョー=エーツさんも食べない気がする。
【痺葡萄】:前世の山椒。房状の実が葡萄に似ているのでそう呼ばれるが、植物的に葡萄との関係は一切ない。痺れ薬の材料の一つ。
山椒だ!! 鰻の恋人ではない。人によっては親子丼に掛けたりするんだっけ? それより痺れ薬が作れるんだ。
【
おおっ!! 蕎麦だ!! 蕎麦まで出て来た!! こんなに欲しいものが連続で出て来て、俺、死なないよね? まぁ蕎麦は一握り程度しかないから今回は調理は無理だな。
ふぅ……、情報量が多すぎる。特に醤油。鰻とか山椒とか感動が薄れちゃったじゃない。ウコンとかショウガの感動を返して!!(苦笑)
ウコンとかショウガの採取だけでなく可能ならば栽培もお願いしたいところだが、一番お願いしたいのは何と言っても醤油!! カレーも食べたいし生姜焼きも食べたいけれど、一つ選ぶとなればやっぱり醤油だよね。蕎麦? それは酒の材料だと認識されれば勝手に栽培してもらえそうだ。
「マリイン=リッジさん、その【粗相豆】って畑で栽培できると思いますか?」
「どうだろうね? 毒草ではないから植えられるとは思うけど」
「実はですね、その【粗相豆】の中の液体って、植物性の魚醤みたいなものでして…」
「本当!? 俺の知らない植物情報だよ」
「魚醤は魚と塩が発酵して液状の調味料になってますよね。これは植物の…恐らくサヤの中の豆が完熟後に発酵したんだと思います」
すいません、異世界の謎理論も謎設定も俺には分かりません。醤油入れが生る植物だとか、どう考えても神様の気紛れでなければ神様の悪戯です。それはもう異世界の神秘だとしか…。
「そうか、植物の魚醤か!! 魚で作ってないから魚醤じゃないか。豆醤? 草醤? でも、魚が材料じゃないけどサヤの形は魚に似てるよね」
「不思議ですね」
「俺もまだまだ知らない事があるから、もっと勉強しないとなぁ」
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