第97話
朝食の後は簡単な筆記試験をさせられた。ドワーフ語の読み書きと共通語の読み書き。共通語は全く出来なくても問題ないとのこと。ドワーフ語も読み書きが苦手な者は職校に入ったら教えてもらえるので、点数が低いからといって入校拒否されるとか人格否定されるとか残念な事にはならない。当の本人がちょっとだけ悲しい思いをするだけだ。極稀に物凄い僻地で生まれ育ったドワーフで読み書きが苦手な者が居たりするのだと。
俺の場合は転生特典のお陰でドワーフ語も共通語も意識してたら勝手に変換&翻訳されているので、便利というかザ・チートというか。たまに翻訳しきれない表現もあるけど、そこはまぁ、方言と標準語みたいなものということにしておく。
という訳で、読み書きについては何の問題もなかった。四則計算も小学校で習う範囲なので無問題。九九は子供の頃に暗記しちゃってるから無計算で当たり前に即答できるけど、転生あるあるで案の定驚かれました。前世はインド人ではないので19✕19の暗算までは対応してないけど、紙に書けば何のことはないのだ。
という訳で、筆記試験は瞬殺で終了。引き続き【
俺が【
ジョー=エーツさんだけだと【
「そうだ、ミーシャにアレを教えておかねば!!」
「アレか!!」
「久々じゃのう、アレは」
ねぇ、アレって何なの!?
「では儂が村人Aで、ファイン=ロックが職人Aじゃな」
パイク=ラックさんの進行でユル〜イ寸劇が始まった。
「困ったのう、困ったのう…」
「村人さん、何かお困りでしたか?」
「昨日の大風で家が壊れてしまったのじゃ」
「私にお任せあれ!! もにょもにょもにょ……… ハッ!!」
ゴロゴロッ… 土魔法で生み出された日干しレンガが数個現れる。
「おおっ、凄い能力じゃ」
「私のグレイトハイパーな土魔法があれば!! ていやーーっっ!!」
両手を掲げる職人A役のファイン=ロックさん。ちなみにここまで二人ともセリフは棒読みだ(笑)
ドドドドド…… 何もない空間から大量に現れる日干しレンガ。
「どうです? 私に家を任せてみませんか?」
ピッピッピー!! ホイッスルが鳴り響く。何この寸劇。
残りの七人が声を揃えて唱和する。
「嘘、紛らわしい、ダメ!!」
「大量生産詐欺、ダメ!!」
えっ…、これって特殊詐欺に気を付けようの寸劇なの!?
「ピッピッピー 村人さん、それは事前に作り置きしていた日干しレンガをマジックバッグに隠しておいたものだよ」
「何じゃってー!!」
「マジックバッグ詐欺、ダメ、絶対!!」
うわぁ………
「とまぁ、よくあるマジックバッグ詐欺の啓蒙劇じゃな。こうして見てるとバカバカしいが、ヒト族の街ではままある詐欺事件じゃよ」
「コレ、絶対にやるなよ!! という警告なんだよ。職校に行ったら必ず学ぶ劇だからな」
ハイ………ワカリマシタ
「ちなみに、この劇には材木パターンもあるぞ」
「俺、ヒト族の教会でポーション詐欺バージョンを見たことがあるなぁ」
これ、入校したらやらされるんだ……、マジックバッグ詐欺、ダメ、絶対!!
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