第90話

餃子を包んだ。その数、何と百個弱。まぁ全員で食べたらすぐに無くなるよ。 「鉱滓スラグに似てるな」 という意見が上がったので、呼び名は餃子改め【鉱滓スラグ包み】になった。


芋麺炒めには千切り野菜と小間切れにした兎肉、味付けは魚醤。付け合わせには猪骨スープ、こっちは岩塩で味付け。チヂミもとい【茄子花芋】のパンケーキにも野菜が入る。ヘルシーなのか貧相なのか分からなくなってきた。猪玉お好み焼き、【棍棒芋】のパンケーキは、擦り下ろした【棍棒芋】を猪骨スープで伸ばし大麦粉を加えて硬めのタネにする。そこに刻んだ猪肉と微塵切りにした【玉菜キャベツ】をサッと合わせれば後は焼くだけ。マヨネーズ代わりに【茄子花芋】のマッシュポテトを【リモー】と【オーリンジ】の搾り汁とオイルで伸ばしたものを添える。魚醤は微妙なので任意で使ってもらおう。ネギ焼きだったら魚醤も合いそうだったんだがなぁ。


忘れちゃいけない、【渓流鰮】の尾の干物。【サモントーヴァ】は皮を剥がしておく。皮は軽く炙ってから蒸留酒に入れたらいいよね。身の方は味を見てから酒に浸すべきかを決めよう。脂っこかったら止めたほうがいいだろうし。大麦粒粥に入れたら鮭雑炊みたいになるかな?


あ、前に芋麺炒めを包んで食べたクレープの皮を焼いてないや。粉モンが被りそうな気もするから焼くのは控えめな枚数にしておこう。パン生地は捏ねてあるんだから、炭水化物が足りなさそうならその場でピロシキを作ればいいかな。蒸せば肉まんだし。


マリイン=リッジさんは畑をチェックしにいっていた。多分、【あか茄子】の管理だな。肥料をあげたりしてるんだろうなぁ。案外、魔力もあげたりしてるかもね。




準備もほぼほぼ出来たので、皆で『関所の集落(仮)』の中央広場に集まる。人数も増えたので竈は増設済み。フライパンも足りないので大きな鉄板を用意してもらった。




調理が始まり、料理が順番に完成していく。ちょっとぐらい冷えても大丈夫な二種類のパンケーキと芋麺炒めから。スープ春雨ならぬスープ芋麺も勝手に作られていた。



「では、沢山の登録とミーシャの庇護氏族名の決定を祝って乾杯!!」



ドワーフ、実用新案とか特許とかの申請が好きなんだな。有名な発明家Dr.氏と対談したら、めっちゃ盛り上がるんだろうなぁ…。ジャンプ靴とか。



「ホークは試食試飲で仕事か…。まぁ頑張るんだな」


「兄貴、うるさい」


「先ずは普通のエールからか……」


「ぬるいエールって、久々な気がするよ」


「まぁ、ぬるくてもエールはエールだからな」


「では、見せてもらおうか、冷やしエールの性能とやらを」



いや、ホーク=エーツさん、あなた一杯試飲したでしょうが。まぁ料理と合わさった破壊力は未体験なんだから、その発言は許そう。



「では一樽いくのじゃ!!」


パイク=ラックさんがエール樽ごと一気に冷却する。


「敢えてスキル発現の為に自力で冷却実験をしたい奴は、こっちの樽から飲まんでよいぞ」


「いやいや」


「パイク=ラック、何を言うか」



料理を頬張り、冷えたエールで流し込む。どこからともなく 「くーっっ!!」 「ウェーイ!!」 「かーっっ!!」 「キンキンに冷えてやがる!!」 等、呻き声にも似た感嘆の声が聞こえてくる。



「【棍棒芋】のパンケーキ!! なんじゃこりゃ!!」


「ヌルヌルがフワフワになるのか」


「このソースというかディップというか、これも芋なのか!?」



「エールだ、エールをくれ!! クソっ、芋麺炒めは美味いしエールも美味いし、パンケーキも美味い!! ズルいぞ兄貴!!」



あ……、ホーク=エーツさんが暴走したこわれた







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