第85話
「多分、これで終わりだな。思い出したらまた言う」
「兄貴、もういいわ。俺、お腹いっぱい。もう無理!! 我が儘言わないで!!」
ホーク=エーツさんでなくても無理だと思います。そしてジョー=エーツさんが我が儘なんじゃなくて、俺が原因です。
「まてまて、庇護氏族の申請の話が終わっとらん」
あ、その話、すっかり忘れてましたわ。
「ミーシャは僻地の出で、氏族名を持っておらんのじゃ。将来のためにも氏族名は有った方が良い。それで、氏族名を得るためには養子制度と庇護氏族制度があるという話をミーシャにしたのじゃよ」
「それは大事ですね」
「ミーシャの、庇護養親に儂が立候補したいんじゃが……」
マジっすか!? パイク=ラックさんに冗談半分で「おじいちゃん」呼びしてたのから、冗談抜きで「お義父さん」呼びになっちゃうの!?
「俺も庇護養親に立候補したいんだがな。何ならパイク=ラックに庇護養親を譲って俺は庇護養親補佐に回ってもいい」
まさかのリンド=バーグさんまでが!?
「ちょっと、ズルい。俺も補佐に連名したい」
「俺もだ」
「俺もだな」
「俺も庇護養親に立候補したいね」
まさか、これは「どうぞどうぞ」な流れか!? ダチョウが肥後する流れなのか!?
「待たんか!! ミーシャに庇護養親補佐が五人も付いてどうする。悪目立ちするじゃろうが!!」
「スマン」
「でも何でまたパイク=ラックが?」
「そりゃぁミーシャが研磨方面に仕事を考えてるからじゃよ。木賊の件もそうじゃが、将来的に砥石だって必要になるじゃろ? 鉱石相手の仕事のせいで、もし研磨師として等級が認められなくても儂を始めとした研磨仕事に関わるものが後ろ盾になってやればいくらでも助けてやれるじゃろ?」
パイク=ラックさん、マジで俺の将来を考えてくれてたんだ。エール冷やしまくらせてたのに怒ってなかったんだ。
「パイク=ラックさん……」
「ミーシャには驚かされ過ぎて、それこそもう、いつ儂の心臓が止まるかヒヤヒヤ物なんじゃがな。それでも可愛い孫みたいな存在でのう。そんなミーシャに氏族名がなくて困るのであれば、儂でよければ……じゃな」
「俺も心配だから…なのに加えて、流れとは言え俺も研磨済み魔石滓に魔力を流せたからな。この一番問題ありな案件でミーシャの保護に回ってやりたい。後は砥石の件もある。先日、【スライムの死核】を研磨させた時に好きな様に砥石を触らせたんだがな、やはり粒度の高い砥石を使わせてやりたくなったんだよ。ミーシャ次第で仕上げ砥石に自力で手が届く様になるとは思うがね」
「パイク=ラックさん、リンド=バーグさん……、ボク……」
二人の優しさに目から涙が溢れる。二人だけでなく、この『関所の集落(仮)』全員の優しさが嬉しかった。
「肝心の氏族名じゃが…」
「普通は
「
「
「と言うことは、
ジョー=エーツさん、前言撤回していいですか?
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