第81話
モーリッシュさんは配走業務の為に『関所の集落(仮)』を出て行った。ここからがやっと本番。流石に関係者以外のいる中で俺に関する報告及び検証作業は出来ない訳だし。
まぁ、ぶっちゃけ、猫獣人さんの目の前で昼から飲んだくれるドワーフ衆は見せられないのですよ。
「さて、やっと本題だな。ホークを呼び出したから分かると思うが、申請・登録案件だ。しかも大量にな。犯人はそこにいる僻地出身のミーシャと、それに乗せられた面々だな」
ガルフ=トングさんとパイク=ラックさんが “ (俺/儂は)違うぞ ” な表情のまま視線を泳がせる。うん、挙動不審。それは犯人の仕草です。
ジョー=エーツさんの司会で順番に説明が始まった。
「先ずはデンプンとそれに伴う食品や料理と、製造に関わる事業化計画だな。道具はミーシャの家に有ったんだよな」
「はい。作ってましたから」
俺の借りている家に移動する。デンプンの材料は【茄子花芋】であることを告げ、使用道具を見せながら作業工程を説明する。実際の実演作業あり、道具の製作の解説ありと、数日前の騒動が再現される。
「芋が白い粉になりおった」
「作業道具は意外に少ないな。作業工程も慣れたら単純だね」
「で、ミーシャ君、この白い粉は他の芋でも作れるのかな?」
「はい。入手するのも擦り下ろすのも簡単なのは【茄子花芋】ですが、【朝顔芋】(推定:前世のサツマイモ)や【棍棒芋】(推定:前世の長芋)でも作れます。【棍棒芋】はヌルヌルするのであまりお勧め出来ませんが、耕作地のない山間部でも自生種を掘ってきてデンプンを作ることは可能です。あと、芋以外でも根っこにデンプンを貯め込む植物があるので、その根っこからでもデンプンは作れます」
葛とか
「それは凄いな。どんな植物か分かるかい?」
「【
「球根系はどうだろう」
「百合からは取れると思います。でも、球根には有毒なものが多いと思うので、鑑定をした方が安全です」
「それなら、確実に食用にされている芋以外から作る場合は鑑定と解毒が必要そうだね」
「安易な気持ちで
ジョー=エーツさん、表現が不穏すぎるよ!!
「で、出来上がったデンプンから【芋麺】が出来る…と。乾燥させれば年単位で日持ちするのか」
「今夜は実際に作った後、調理したものを試食してもらう予定です」
ボソボソと「ガルシア麺」じゃだの、「あれは美味かった」だの囁く声が聞こえてくる。
「そしてホーク、このデンプンからは水飴が出来る。こっちの方が本題だ」
「水飴!? 砂糖じゃない甘い物が本当に出来るのか?」
「ヒト族の貴族が利権を独占しているという
あー、『関所の集落(仮)』の皆がニヤニヤしてるよ。いや、あなた達だって数日前までデンプンや水飴見て大騒ぎしてたでしょうが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます