第42話
「これは煎った大麦粉を練り込んだ飴です。他にも作るなら、ドライフルーツやナッツなんかを混ぜ込んだりしてもいいと思います」
「味のバリエーションはいい考えだが、そもそも飴はどこから出てきたのかな?」
農業専門のマリイン=リッジさんに突っ込まれた。諦めて水飴の存在も暴露しよう。
「デンプンと麦芽で水飴が作れるんです。その水飴を煮詰めて粘度を高めたところに煎り大麦粉を入れて食べやすく形成しました」
「まさか、ドワーフの認めし【茄子花芋】と、エールの源である麦芽とが合わさって飴になるとは。これは “登録” 行きでよいのではないか?」
「いいんじゃないか?」
「我々ドワーフのドワーフによるドワーフの為の飴だな。そうだ、【鉱夫飴】とでも名付けてみたらどうだ?」
「異議なし!!」
「鉱夫が採掘中に食べるエネルギー補給の為の飴だと謳うわけか」
「基本の煎り大麦粉バージョン、エネルギー補給用のナッツや胡麻入りバージョン、ドライフルーツ入りバージョンそんなところか?」
皆が練り込む物をどうするかで盛り上がってる中、あれが無い事に気付いた。そう、あれだよ、あれ。塩飴。
「あの、岩塩の粒を練り込んだ物もあればいいと思います。採掘したら汗をかくので塩分補給に丁度いいんじゃないかって意味で」
俺が塩飴を提案している脇で、パイク=ラックさんがガルフ=トングさんとリンド=バーグさんに何やら相談をしていた。何だか凄く盛り上がっている。
「儂は包み紙をこうしたほうが良いと思うんじゃがな…」
と言うとパイク=ラックさんが蝋紙を長方形に切り二つ折りにすると飴を挟む。紙に引いた蝋を炙って均一にする為に使った火鉢(七輪かも?)から練炭を何個か取り出すと、平たいスリッパ状の金属製の道具に入れ、鉄が暖まったところで麦飴を挟んだ蝋紙の折り目以外の三方に充てがった。
「どうせなら
流石。それなら持ち運びもしやすいし湿気ないし、個別販売も出来る。食べ終わった後、包み紙のゴミは出るけど焚き付け用にはなる。小さな採取品、それこそ種とか宝石とか無くしやすい物を入れるのにも使える。
「甘いぞパイク=ラック、どうせなら二重にしよう。外側が規格品なら内側は手習いで構わんだろ?」
何で急に二重袋仕上げの話になるの?確かに湿気対策にはバッチリだけど。
「さっき三人で話したんだが、この飴は一大事業になるんじゃないかという意見が出たんだ。飴の売上も勿論だが、一番は飴を包む蝋紙だ。材料の【芭蕉紙】は【紙芭蕉】を
熱弁を振るうリンド=バーグさん。
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