第41話
「狡いぞ、パイク=ラック!!俺にもミーシャに指導させてくれ!!」
「俺も一緒に作業したいぞ!!」
「何と羨ましい!!」
「パイク=ラック抜け駆けするとはな!!」
気付いたらパイク=ラックさんの家の入口で四人が騒いでいた。
「あー、四人を呼びに行ったんだがな、まさかミーシャがパイクに指導されているとは思わなかった。ミーシャ、モテるな」
ジョー=エーツさんが苦笑いしている。俺、モテ期到来なの!?おっさんしかいないのに!?
……あ、今の俺はドワーフっ
「パイク、何を作るべく、どんな指導をしていた?ミーシャ、何を教わったんだ?」
リンド=バーグさんが聞いてくる。これはもう麦飴の存在が全員にバレるやつか。つまり水飴もバレちゃうか。
「ミーシャは蝋引きの【芭蕉紙】を作ろうとしておってな、その指導じゃな」
「何でまた蝋紙なんだ?」
「ボク、先日作ったデンプンと大麦で飴を作ったんです。今は土魔法の『土器』で作った容器に入れてあるんですが、湿気対策と食べやすさを考えたら蝋紙で包むのがいいかな?と思ったんです。それでジョー=エーツさんに紙と蜜蝋を入手したいと相談をしたらパイク=ラックさんの家に連れて来られました。そこから色々やらかして、指導して頂きました」
「ミーシャ、飴じゃと!?包み紙を作ろうとしていたのか」
「パイク=ラック、聞いてなかったのか?」
「知らん、知らん、今知ったわ」
全員が俺に詰め寄ってくる。諦めて麦飴を供出することにする。
「ボク、家に飴を取りに行ってきます!」
そう言うと家に走る。本当は『
「お待たせしました。蝋紙を作ったら家で包むつもりだったので…」
精一杯、誤魔化す。
「これが麦飴です。飴をこう蝋紙で包むつもりでした」
土魔法『土器』で作った蓋付き容器を縛ってある縄の封印を解き、中から飴を一粒取り出すと蝋紙の上に置きクルリと一巻きさせ、両端を捻ってキャンディ包みにする。
「麦飴、皆で試食するぞ」
容器の中から次々と取り出され、おっさんドワーフ達に頬張られてゆく麦飴。麦飴を前に、興味津々キラキラとした瞳で見つめる行為は少年そのものだけど、残念ながらそこにいるのは全員がおっさん。
美味い美味いと大騒ぎするおっさんドワーフ達を前に、俺は騒ぎが収まるまで苦笑いしながら見つめる事しか出来なかった。
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