第34話

   ―――――― 今回はジョー=エーツ視点の回です ―――――



ミーシャがまたやらかしてくれた。やらかしたといっても料理でなんだが。今日の料理も美味かった。美味かったから許す!と言えないのがなんとも残念なんだ。


素材は何の変哲もない【茄子花芋】。その芋から白い粉を取り出し、保存の効く麺、ミーシャ曰く “芋麺” を作り出した。その芋麺を使った料理も美味かった。あの人気のない野菜、【食用マンドラゴラ】と【から茄子】、あれを芋麺と合わせて滅法美味い炒め物にするとはな。搾りかすもしっかり食材にしていたし。搾りかすは家畜の飼料や畑の肥料に転用も出来ると言っていたので、【茄子花芋】の新しい食べ方の一つになりそうだ。


芋麺を油で揚げる!? エールを冷やす????? ノリと勢いで面白いことをするだけじゃなく、ちゃんと料理にしてみせる手腕と発想力。俺も集落の皆も年甲斐もなくエールの件では燥いでしまった。


それよりだ、ミーシャはまだ職業も修業先も決めていないというのが信じられない。いや異常だ。当人にやる気がないというか何をしたいのか決めあぐねているというか、それにしてもあれだけの逸材を放置して腐らせておくのは大人として不甲斐ない。氏族名が無くて困っているのなら養子もしくは庇護氏族にしてもいい。この集落のメンバーなら学校や就職先宛に紹介状も書ける。


早めにまた集落のメンバーで会議をしないと…だな。



と思っていたらミーシャが家に戻っていった。これは会議のチャンス到来だな。ん!?皆も同じ思いだったのか。丁度いい、このまま会議にしちまおう。


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