第26話
『渓流鰮』パーティーから数日。俺は『関所の集落(仮)』の近場で食べられる野草やベリー類を採取しては干し、拾った石を研磨していた。『渓流鰮』に関しては、魚醤にするより酒に浸して消費したい意見が纏まりかけていたので、「尻尾の部分だけ切り取って干しておいたら、それを炙って『渓流鰮』のヒレ酒が楽しめますよ」とアドバイスしておいた。
白い空間で取得しておいた研磨関連のスキルは『石知識』、『砥石知識』、『研磨の心得』、『採掘』。
鍛冶に関するスキル『鍛冶(初歩)』は取得済。 ”遊び” でナイフを打っていたら生えてくるスキルなのでドワーフだったら大抵は持っている。まぁ “遊び” で…といっても五〜十年単位なので寿命長めの種族もしくは鍛冶が日常茶飯事なドワーフ以外ではそう取得していないけど。ちなみにその “遊び” というのは、破損廃棄された武器を打ち直したり研磨したりしてナイフを作ったり、釘を叩いて研いでミニサイズの武器を作っていたら生えてくる。尤も、 “遊び” と言っているのはドワーフだけで、本来は鍛冶師の師匠が入門したての弟子に「このガラクタで遊んでみろ」とやらせる初期修業だ。
釘から武器作りは、やり過ぎると『暗器作成』が生えてくるそうなので注意。そのまま作り続けると職業スキル『暗殺者』が生える。そして……大抵は暗殺者ギルドメンバーに目を付けられ、スカウトもしくは拉致されて暗殺者に仕込まれる未来が待っているという訳だ。
で、スキルのサポートを入れながら拾った石を研磨してみた訳ですよ。石の
宝石の光学効果というのは、いわゆるスター効果とかキャッツアイ効果とかカラーチェンジ効果とか遊色効果とか、そういった光学現象を指す。均一で透明な宝石も綺麗だけど、色が揺らいだり星状の反射光が浮かんだり特定の光源下で色がスパッと切り替わったりするのも綺麗。宝石に付加価値を与える効果だと思えば間違いない。
で、魔石ですよ、魔石。厳密に言うと【魔石滓】。スキル『魔石知識』によると、【魔力を使い終わった魔石。錬金術ギルドが回収してポーション瓶等に加工する】とある。これが基本使い捨てと言われる所以。追加情報で、【大きい魔石だと魔力の再充填を施したりするが、手間暇と資金が掛かるので概ね魔法使いギルドに委ねる。それだったら冒険者に依頼した方が早くて安い】となっている次第。
その【魔石滓】が手元に有ります。これ、微妙に魔力が残っている気がする。まぁ、爆発はしないだろ、と思うので研磨していくことにする。大きさは枝豆一粒くらいで、歪で扁平な卵型。少しゴツゴツしている。初めての魔石研磨だし、そもそも勝手がわからないので適当…ではなく形状を活かしてみようと思ったので表面を滑らかにし形を整えることにする。
スキルサポートでは【硬度:硬め 中砥以上でゆっくり気長に】と出る。『汎用魔法』の『水滴』を使いながら指示通りに研磨していこう。
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