第16話

貰った芋を『対物簡易鑑定』してみた。結果は【茄子花芋】。見た目から想像するに多分ジャガイモだ。土付きだからちゃんと遮光保存が出来てるんだな。ラノベあるある毒芋扱いではないらしい。ただ茹でて岩塩を掛けて食べるのもなぁ。擦り下ろして野草を混ぜてチヂミっぽくして焼いてみるかな。まぁこれなら異世界料理だと警戒されないとは思う。



あ…、おろし金持ってない(笑)



よくよく考えてみたら俺、キャラビルドそれもスキル考察中心に舞い上がり過ぎて、装備やら所持品やら所持金やらを蔑ろにしてたよ。そりゃー上位存在が工具箱持ち込み許可するわ。そして更に重要な事に気付く。俺、この世界の砥石持ってない(笑) 持ち込み砥石を人前で使ったら一発で転生者バレしちまう。



竈の場所には備品の鍋など調理器具が揃えてあった。有り難く使わせてもらおう。包丁もある…、あ、包丁があるならどこかに砥石があるハズ。流石におろし金は置いてなかった。


で……、砥石がないんですけど…。包丁の手入れ加減を見る限りちゃんと砥石で研がれているのは見て取れる。ならば考えられるのは、研ぎ場があるのか駐在しているメンバーの中にいる凄腕の研ぎ師に任せているかのどちらか。もしくは秘密の場所に砥石を収納してあるのか。



砥石の事はは後で聞くとして、【茄子花芋】の皮を剥く。どうしてもチヂミっぽい何かが食べたかったので土魔法『土器』で目の荒いおろし金を作る。芋を擦り下ろすとボウルに入れ刻み野草と合わせ、フライパンで焼く。焼いてたら背後にジョーさんがいた。この人、気配遮断スキル持ちなのか!?精神的によくないわ。



「ミーシャ、面白いものを焼いてるなぁ。それ…なんて料理だ?」


チヂミですとは言えない。えーと、えー……


「【茄子花芋】のパンケーキです。ボク…これが好きなので…」


「で、使った芋は何個だ?」


えっ、聞いてくるのそこなの?


「生の芋が二個です」


「そうか。二個か。個数の割に食いでがありそうだな」




結局、味見と称したジョーさんに半分近くチヂミを食べられてしまったよ。うん、転生あるあるだな。

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