第4話 転生者協会
「転生者です……」
ここまで詰められてはもはやどうしようもない。ハルキは素直に白状する事にした。途端に銀髪の少女、レイスの殺気はピタりと止んだ。
「ごめんね、手荒な真似して。でもどうしても本当のこと聞かなきゃだから……」
緊張も溶け年相応の表情を見せるレイス。普段のハルキならこれだけでイチコロにされるが現状は謎だらけである。可愛い女の子にうつつを抜かしている場合では無い……無いのだ。
「今俺もクマみたいに黒焦げにされそうだったんすけど……」
「この世界に害を為すならあのまま黒焦げにしてたけど正直に話してくれたし……『 クリムゾンベア』相手に狼狽えてるようじゃ無害そうだし。そうそう、転生者協会のスカウトなんだけど……受け入れてくれる?」
当然のように黒焦げ宣言をされて額から冷や汗が垂れる。口ぶり的に彼女はこの世界で悪事を働く転生者を討伐して回っているのだろうか。俺だけが持つチートで異世界楽勝だと考えていたハルキだったがこの小一時間でそんな期待はバキバキに折られっぱなしだった。
そして気になる言葉が彼女の言う転生者協会である。今のところ、その『 クリムゾンベア』にも勝てないハルキがこの世界で安全快適に生き延びるのは困難を極める。ハルキとしても縋れるものには縋っておきたい。
「転生者協会って何ですか?」
「転生者協会は私が作った転生者の互助会。こっちに来たばっかだと生活も難しいでしょ? だから宿舎とか作って共同生活してるワケ。あと転生者相手の治安維持とかもしてるけど……あなたにいきなり戦えなんて言わないから安心して」
「スカウト受けます!」
「敬語なんかくすぐったいからやめて、多分私達タメとかだろうし」
乗らない手は無い。ハルキは説明を聞き終わると同時に即答する。
「あとあなた、名前は? それと能力も出来れば教えて欲しいんだけど」
「ダテハルキ、能力は多分創造じゃないかと思ってるんだけど……イマイチ扱いきれなくて」
「ハルキね、能力の鍛錬もうちで出来るから大丈夫」
始めは女神から貰った能力が予想していたものと違ったり転生してすぐに命の危機が訪れたり踏んだり蹴ったりだったが、レイスに会って、転生者協会にスカウトされてこれはプラスとしか言いようがない。
そうしてハルキとレイスは一旦最寄りの村へ歩き始めた。レイスが言うにはそこのポータルを使って協会がある街へ転移するそうだ。一人ならポータルを使うまでも無いらしいので申し訳ない。
転生者協会には自分の他にどんな転生者がいるのだろうか。レイスも歳が近く比較的親しみやすいがやはり同性の同い歳もいてくれると助かる。
「転生者協会にはレイスの他にどんな転生者がいるんだ?」
「えーえと……一人、頼りになる人がいるけど……」
そう言ったきりレイスは口を噤んだ。ん? 反応的に何か気になる。ハルキはもう少しだけ踏み込んでみることにした。
「もしかして、俺が来るまで2人だけ?」
「本当に最近始めたんだからしょうがないでしょ! 問題を起こす転生者はハルキが思ってるより多いし、鍛えて早く戦力になってもらうから!」
「えぇ……」
顔を赤くして叫ぶレイスと今後の自分の身を案じるハルキ。まだ高く昇っている日が2人を照らしていた。
転生者協会へようこそ ぶるーばにあ @bluebania
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