第3話 大学教授殺人事件③
岡山の部下が置いていったパソコンに岡山と灰川がのぞき込む。
岡山がパソコンを操作しながら状況を口に出す。
「15時58分、藤川さんが入っていって……」
映像を早送りする。
「16時1分、三島さんが部屋に入っていったと」
再び早送り。
「その20分後の16時20分に三島さんが部屋を出て、ん?」
三島が部屋を出た直後に一人の女子大学生が三島に近づき、一緒に歩いていく映像が流れる。
「この人はどなたですか?」
「その人は同じ研究室の畑中夏さんです」
灰川が興味を持ったようで会話に参加する。
「この後、お二人でどこに行かれたんですか?」
「大学の図書館で一緒に勉強していました」
「何時までですか?」
「そうですね、16時45分ごろまでだったと思います。ちょうど学校の方から警察の方が呼んでるという電話がかかって来まして、そのあとこの部屋に来ました」
「そうですか、ありがとうございます」
岡山が再び映像を早送りすると、木下が宮原の部屋の扉を開けるとすぐに驚いてしばらく呆然としてから電話をする様子が映っている。
「16時32分、木下さんが苦しむ宮原さんを発見。全員の証言と一致しています」
灰川が再び質問する。
「木下さん、宮原さんが苦しむのを発見してから電話をしていますが、こちらは救急車を呼んでいるのですか?」
「はい、そうです」
木下はその時の状況を思い出したのか、ハンカチで涙を拭きながら答えている。
それに対して岡山が悲しそうな顔をしながら続ける。
「うん、消防にかかってきた電話の時刻と一致している。しかも、木下さんは宮原さんの部屋に入ることなく通報していることを考えると、木下さんには宮原さんを毒殺することはできませんね」
右の髪の毛をいじる灰川。
「それなら、もう犯人は三島で決まりじゃなのか!」
藤川の大声が響く。
「いえ、青酸カリは即効性のある毒物です。宮原さんが苦しみ始めた時間から考えると、三島さんを毒殺することはできません」
ほっとした表情を見せる三島。
「じゃあ、犯人は誰なんだよ!あれ?俺、思いついちゃったんだけど、木下教授と三島の共犯なんじゃないですか!」
藤川の言葉に木下がさらに涙を流す。
「そんなことあるわけないじゃない」
慌てて止めに入る岡山。
「やめてください、藤川さん!木下さんはご友人を目の前で亡くされているんですよ!」
「だってよ、三島が殺して木下教授が苦しむのを見たっていえば完璧じゃないか!」
何も言えなくなった岡山は灰川に助けを求めるが
「なあ、灰川、お前はどう思う?」
目線の先に灰川はいない。
「おい、灰川どこ行った?」
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